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最近の仕上げ方 [剃刀 雑感]

普段のメンテは相変わらずで、革砥#40000番と住友3Mラッピングフィルム#15000番でチョコっと撫でれば申し分無く切れッキレの剃れッソレで問題はまるでナシ!

現在砥石を出すのは我が家の女子達から任命された包丁研ぎ係の責務を果たすタメにせっせと包丁を研ぐぐらいか、モチろん日本橋木屋の#800番だ。

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以前マルカ砥石で手打上条幸夫と ㊂ 岩崎 玉鋼 を研いでみたりしたが (マルカ、上条、岩崎、叶山と究極セットなのだ) 当然とても良いのだが何度か研いでいるうちに気分が"いっちょ上がり"となってしまった。
道具ならこれ以上無いだろうなぁ、、あとは腕だけだが自分の肌で判るワケですよ、毎日剃ってるワケで、日によってたまに波が有るがそのワケすら分かってる。
プロの理容師は客の顔を剃っても自分の髭を替え刃式ストレートレザーで剃ってるのかな?プロがそりこちゃんで自分の髭を剃るとも考えられないしね、何使ってるんだろう?
知りたいものだ。

西洋剃刀の刃角 [剃刀 雑感]

以前、刃の角度が知りたくなり、三角関数を使い手持ちの西洋剃刀の刃角を調べたが、細かく調べたいので、コンマ2桁まで、求めようと苦心した思いがある。

先日伺ったタイガーカットにて、定規と分度器でハンドメイドされた刃角を計れる、お手軽で便利なモノを見せてくれた。


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ふむ、ならばキッチリと計りたいモノだ、と思い調べると、“ デジタル角度計 ” なるモノを見つけ手に入れてみた。

以前は、三角関数で直角三角形の底辺と高さから傾斜角と斜辺を自動計算するサイトを使い計っていたが、不便であった。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228774

今回、デジタル角度計を使ってみて、コレは便利だと思えた。

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ただ、西洋剃刀の刃とモノサシをテープでシッカリ養生して慎重に扱わないと、モノサシがステンレス製で計る時に挟み込むので刃線にキズが付きそうだ、ヘタすると欠けるかもしれない。
計り方の工夫とシッカリ養生して扱いに慣れてしまえば、至極簡単、とても便利だと思う。


刃線を気にする方にはオススメはしないが、コンマ一桁まではシカッリ計れます。

ラスレスM [剃刀 雑感]

夏の東京は暑い。それもカラッと暑いでは無く、非常に蒸し暑いのだ。
西洋剃刀を見て思うが、この日本の気候だと錆びて朽ち果てそうなモノだがね。

タイガーカットの吉野さんに教えて頂いた、ラスレスMが気になって調べると現在も医療器具の分野で使われていた。医療器具の錆止めは何種類かあって、剃刀の保管にはもってこいかもね。

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ラスレスM ( 内容:25g で ¥1,700 )

“ 常温常圧で徐々に気化し金属表面に極めて薄い被膜を形成し金属の発錆を防ぐ” と ある。
“ 気化性防錆紙 ”のフェロブライト紙やアドパック紙のパウダー版って感じだな。


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タイフレッシュ・サビクリア
ステンレス器具のくもり・錆の除去、ガラスのくもりを除去する弱酸性器具用防錆剤だ。


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パワークイック、潤滑・防錆・乾燥促進剤
低濃度で使用でき、優れた潤滑性および防錆性を発揮するので経済的で、
浸透性が高く、器具の表面に均一な保護皮膜を形成する。
浸漬処理後の乾燥時間が短縮でき、乾燥後のムラも形成し無い。
泡立ちがほとんどなくジェット洗浄機にも対応できる。
黄色透明・希釈使用(浸漬・ジェット洗浄機)、 低腐食性・低起泡性・無リン で有る。

かなり心惹かれる説明文だ、4L、1L、と有り、器具に付着した血液、体液、皮脂の洗浄殺菌をするのだ。


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SDインスツルメントオイル
スケーラーのシャープニングオイルとしてや、プライヤー・鉗子その他インスツルメントの防錆潤滑油として使用するみたいだ。


この中からだと、やはり 保存にはラスレスM 、日常使いにはパワークイックが使いやすいかもしれないね。


西洋剃刀持ち込み禁止 ② [剃刀 雑感]

昨日は受けれなく、本日例の機内持ち込み禁制品が手元に届いた。

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届いたことにホッとしたが、封を切って確認すると、目を疑う惨状に暫くボーゼンとした。

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確かに、日本のモノを届ける流通システムには敬意を払うが、働いてる人の価値観が、、、言ってもしょうが無いか。
全て、私の配慮が足りなかったのだ。

玉鋼 ㊂ 岩崎が無傷だったのが幸いだ。



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しかし、もう、かなり残念で有る。



西洋剃刀持ち込み禁止 [剃刀 雑感]

危険物機内持ち込み禁止 ! そんなコトは良〜く存じているのだが。
ありえ無いコトが起きた、機内に刃物を持ち込むトコロであった。


羽田ANAの保安検査所にて、人がくぐる 固定式金属探知機 をポケットの中にあるモノ全てトレイに出し、ベルトも外して万全な状態でいつもの如くスルッと抜けたのだが、手荷物が見当たら無い、ふと振り返り見ると私のバック辺りで停滞していた。
機内持へ込むモノをチェックする X線透視手荷物検査装置 のモニターを睨んでいる20代と思われる若い女子メガネ検査員に、お客や他の検査員の視線が集まったトコロで
「 チョット待って頂けますかッ! ムム、折りたたみ式の剃刀が2ツ 入っている ! 」
と、キリリ言い切ったのだ!
私は口がポカーン?となったが、頭の中の記憶をグルグルさせすぐさま、ガックリした確かにバックに入れて有る、イヤ入れた、と気付いた。
指摘された自分のバックから、玉鋼 ㊂ 岩崎 と 谷藤のCAPE NT−77 の2丁を指定されたトレイに出した。
私の気分は、時代劇が如く、お代官様のおっしゃる通〜りです、あっしが悪〜御座いやした。的に、もう完全にお縄状態で有る。
(私の思考回路は現代劇では無く、どうやら時代劇になるみたいだ)


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( 旅から旅へと連続で、西洋剃刀が入れっぱなしになっていたのだ )


語尾をのばすコレまた若い男性保安検査員が。トレイに有る西洋剃刀2丁を見て “ 刃渡が基準をオーバーしてますね〜 空港では預かれ無いので〜ここで廃棄して頂くか〜着払いの宅配となりますね〜 ” ナニ!破棄とはなんだ、コラ若造!この剃刀の価値がわからんのか、などと諭してる場合では無く、離陸時が迫ってるのでトットと着払い宅配の手続きをし大事に至らずに済んだ。



しかし、まービックリ感心したのが、20代前半と思しきうら若き女性が仕事とは言え、折りたたみ式の剃刀と見分けたコトだ。日本の保安検査員はシルエットテストに西洋剃刀の形も入れて訓練したのだろうか?
検査員教育は隙の無い内容となっているのだね。
(価値とかはマッタク分かって無いみたいだったが)
これからも空の安全をシッカリ守って頂きたいモノだ。



要するに、西洋剃刀は飛行機関連では危険物扱いなんだ。
確かに、西洋剃刀を使い始めた頃は研ぐのに指を切り、髭剃れば顔を切り、いつも出血で危険極まりなかった。
しかし、慣れてくれば、こんなに素晴らしく朝からクールにキメられて、男のアイテムとしては申し分の無い人生の相棒西洋剃刀を、危険だがキケンだと思わなくなってくるハズ。


一般の世界では良く知られ無くなった西洋剃刀が、スイニートッド の映画の如く サブタイトルには ( フリート街の悪魔の理髪師 ) とホラーだし 、キケン極まりないモノのイメージとアイコンになっているのなら、悲しい限りだ。


西洋剃刀の正しい扱い方を伝え、素晴らしさを伝えて、それを感じて頂けれる様に、これからも続けてゆこうと思う。


西洋剃刀の保管 [剃刀 雑感]

ついこの前、新品の西洋剃刀をお借りした。(と、言っても4.50年前のモノだが) その剃刀箱の中には説明書と透明ビニール袋にいれられた西洋剃刀と黄土色した紙片が入っていた。

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その紙片に印刷された文面には、“ 錆を防ぐ ”と印刷されていた。
なになに! 何だこれは? 油紙かなと思ったがそうでは無いらしく、染み込ませた薬剤が気化して錆を防ぐコトが出来るらしいのだ。

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調べてみると、それは “ 気化性防錆紙 ” と言うらしい。

他には、防錆ポリ袋 と言うのもあり「鉄」の材質の製品を防錆したい場合には、気化性防錆紙や防錆ポリ袋が防錆油よりも高い防錆効果が有るらしいのだ。


錆が出来るとは、まずは鉄の原料である鉄鉱石が、主に鉄と酸素からなる化学的に安定した酸化物として自然界に存在する。この鉄鉱石から酸素を分離してできた鉄は化学的には不安定で、温度と湿度の影響を受けて安定した元の酸化物に戻ろうとするが、この酸化物自体を錆と呼ぶ。

鉄が錆びるには酸素と水の両方の存在が必要で。
鉄片を「乾いた空気中」に置いたままにしても錆びないのは水が存在しないためであり、また、よく沸騰させ水中の空気を追い出しておけば、水中に浸した鉄片が錆びないのは酸素が存在しないからなのだ。


錆のメカニズムは、結露現象により、大気中に含まれている水蒸気が冷やされて水滴に変わり、この水滴が金属表面に付着すると、金属面に不均衡電位が生じ、これによる電気化学反応によって錆が形成されるからだ。



気化性防錆紙や防錆ポリ袋は、紙やフィルムに染み込ませたり練り込んだりした「気化性防錆成分」により、紙やフィルムが大気に触れると、常温で徐々に気化する。この気化した防錆成分が、ナント大気中の水蒸気を溶解するのだ。
つまり水蒸気中に溶け込んだ気化性防錆成分によって、金属表面にできる不均衡電位を抑え、電気化学反応を抑制して防サビ効果を得るらしいのだ。

西洋剃刀の保管での気化性防錆紙や防錆ポリ袋を使用したサビ対策として、フィルムを製品に1重包装するだけでも有効期間1年以上の高効力を持つらしい。

ただし、紙やフィルムに練り込まれた気化性防錆剤は無限では無いらしく、
開封し、また同じフィルムで包装ということを何度も行うと、保管期間によっては防錆効果が薄れてしまっている、という可能性は有るが、フィルムで包んだ状態、袋に入れて封をした状態で保管すれば、
高温、高湿下などの過去な現場環境でも高い効力を素晴らしく発揮するらしいのだ。


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早速 “ 気化性防錆紙 ” のサンプルを手に入れた。西洋剃刀をこの紙片と共にジプロックに入れて日の当たら無い場所で保管すればバッチリみたいだ。

本当ならジプロックでは無く“ 防錆ポリ袋 ” に紙片と共に入れれば完璧だろうが、何方も業販向けで小分け売りが無いので数が多過ぎる。


しかし、西洋剃刀を多く所持してる方にはオススメだね





西洋剃刀の撮影 [剃刀 雑感]

別ブログ 西洋剃刀大全(日本) の記事がある程度見られるカタチになる迄は、バタバタ時間が取られており、髭剃りの友 のブログアップ間隔に仕方が無いが影響が出ている。


西洋剃刀大全(日本) に賛同して頂いた方から、写真と情報をご好意で提供して頂き、着々と内容を増やしてます。
また、各地より貴重な日本製西洋剃刀をお借りし現物を送って頂くコトにもなり、有難う御座います。

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お借りした西洋剃刀を私が撮影する手筈なのですが、なかなかドッコイ撮影が上手く行かない。
道具を揃えたがイメージ通りに撮影とは成らず、ブツ撮りで1番難しい曲面光モノの難しさ、行ったコトの無いマクロ撮影に試行錯誤している。


お借りした西洋剃刀を綺麗に均一にパターン撮りしたいのだが、カタログ的ブツ撮りの経験など当然無く自由にカッコよく1丁を撮ることはできても、トントンと数多く決められた画角とトーン、ましてや欲しいトコロにジャスピンに全て揃えて綺麗に撮るパターンをつかむ迄が至難の技だ。

使わせて頂いた写真のレベル違いに愕然とし、只今カメラと撮影について猛勉強中で、普通に見られる写真にチャンと撮りたいのだがナゼだか思った様に写ら無ーい。


う〜ム 面白いね。


すみだ郷土文化資料館 [剃刀 雑感]

思いがけずチケットを頂いた。すみだ郷土文化資料館 3F 「すみだ粋の世界」にて墨田区登録無形文化財認定の谷藤福太郎氏の西洋剃刀が展示して有ると言うのだ。

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昨年、谷藤を検索していて平成14年に同テーマで谷藤氏の西洋剃刀が展示された記録が残っており残念だった記憶があり、今回のチャンスに是が非でも伺わなくてはと向かった。車のナビで35分そのとうりに着いた。

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担当の方が見える間に入り口横の墨田区伝統工芸士の売り本で谷藤氏を見つけそのページを受付の方にコピーして頂いた。谷藤氏の若い頃の写真が出ていた、なんかドキドキしてきた。「すみだ粋の世界」の担当の方に案内され展示室へ、アクリルの大きなケースに谷藤氏の紹介とLEDランプにライトアップされたキラキラの西洋剃刀3丁展示してあった。

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FAVORIT と 見たコトの無いクラブレーザー2丁だ。どれも美しく魅力的だった。
担当の方が谷藤氏について色々と詳しく語ってくれた、続けるとはどういうコトか考えさせられた。
静かな中で有意義な時間が過ぎていった。


撮影禁止でしたが許可を頂きました。

鉄隕石 [剃刀 雑感]

東京農業大学の資料館を覗いた時に、ダマスカス鋼を使い作刀したような刀の写真が出ていた。

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榎本武揚(日本の武士、幕臣で有りながら明治新政府の大臣を歴任した)が依頼し鉄隕石(隕鉄)を使って作刀した写真資料だった。

調べると、日本では、鉄隕石(隕鉄)を星鉄、隕星、天降鉄(あめふりてつ)などと言い、ソレを使って作刀したモノを、流星刀、隕星剣、星鉄刀、(アニメだが斬鉄剣)と呼ぶ。

日本では明治時代に作刀されたものが有名で、(鉄隕石を使用して製作された刀剣は各国にも見られる) 榎本武揚は刀工の岡吉国宗に 流星刀 の製作を依頼する。鉄隕石からは4キログラムほどの鉄が欠き取られて使用された。当初、隕鉄を使用して日本刀を製作することが初めてであった国宗は、普通の鉄と比べ、やわらかすぎる隕鉄の加工に苦労したとされ、鉄60パーセントに鋼40パーセントの分量で混合し、鍛えあげることに成功した。こうして隕鉄を使用して鍛えられた流星刀が大小4振り製作した。
(2振りは当時の皇太子のちの大正天皇に献上された)

使用された鉄隕石は、1890年(明治23年)、富山県上市川上流において、発見された「白萩隕鉄1号」隕鉄22.7キログラムだ。
地質調査所の分析で、白萩隕鉄1号の成分は、
鉄      89.5%
ニッケル    9.3%
コバルト  0.8%
炭素  0.2%

作刀するにあたり、例えるなら水と油を混ぜて氷を作るようなもだったらしい。
玉鋼と隕鉄を刃金に用いる場合の配合比は、7対3の割合がもっとも良い結果となることも分かったらしい。

隕鉄使用で作刀した刀匠
1898年 岡吉国宗
1992年 藤安将平
1994年 法華三郎

日本では他に鉄隕石を使用した両刃の剣である、隕星剣(過去に四日市市立博物館に展示)も製作されている。天体写真家の大野裕明が刀匠 藤安将平に依頼して1992年に作刀した1振りで、使用隕鉄は海外モノ、作刀の動機は、榎本武揚が製作させた流星刀に影響されてのコトみたいだ。

いまでも刀工に依頼して流星刀が製作されるが、国内モノではなく、海外モノ隕鉄が使用されることが多い。また、隕鉄を使用した日本刀は独特の輝きを有しているみたいだ。

1836年にナミビアで発見されたギボン隕石で1994年に刀匠法華三郎が鍛えた純粋隕鉄刀も同様で、流星刀に起因があるが、隕鉄の表面は柔らかくて簡単に切断ディスクが入ったが、途中から硬くなって切断ディスクの方が変形した。銑鉄でもないのに銑鉄のような火花が飛ぶし、どう考えても不思議な鉄だと言及したようだ。

調べていくと地球上の鋼を鍛えるのとは異なるゆえ刀匠が加工に苦心しているのが分かる。

宇宙から星となって地球に到達し、その星を使って刃物を作る。その名も 「 流星刀 」 とは夢があるではないか、是非とも隕鉄で剃刀を作ってくれないだろうか、私だったら必ず夢を手に入れる。


ツヴィリング J.A. ヘンケルス [剃刀 雑感]

日本製西洋剃刀には大きく重いモノ(70gオーバークラス) が見当たらず、 ヘンケルスで1番大きく重い#14を手に入れた。
仕方がない、如何しても大刃の西洋剃刀で髭を剃ってみたかったのだ。


ストレートレーザーの世界で1番メジャーである、ツヴィリング J.A. ヘンケルス(Zwilling J.A. Henckels AG) の剃刀を 手に入れたので調べてみた。

ドイツのゾーリンゲンが本拠地。「ツヴィリング」や「ヘンケルス」が商標名で、双子がトレードマーク。(ツヴィリング とは、ドイツ語で 双子の意味)

創業は1731年にヨハン・ペーター・ヘンケルス(Johann Peter Henckels )が双子のマークを登録した年とされている。その後、ヨハン・アブラハム・ヘンケルス(Johann Abraham Henckels)が1818年、ベルリンに第1号店をオープンさせた。社名の J.A. は彼の名前の略である。

ツヴィリング(ZWILLING)とヘンケルス(HENCKELS)の2つは別々のブランドである。

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ツヴィリング ブランド
よく知られ、以前からあるブランドで、双子のマークで有名である。価格は後述のヘンケルスブランドよりプレミアム性の高い商品だ。

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ヘンケルス ブランド
1895年に新たに加えられたブランドで、双子ではなく1人のマークである。各国の支社がその国の料理文化に合わせた商材を展開しており、価格は前述のツヴィリングブランドよりリーズナブルに抑えられている。

今となっては ツヴィリング 製の剃刀は製造されてい無いが、世界で一世風靡した最高の剃刀を世に供給した会社である。現在も多くのツヴィリング製剃刀がネットで頻繁に取引され流通しており、数的にも品質的にも良いモノが多い。

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柄に象眼されてる双子のマークの初期は浮彫立体で、次に双子マークのみの象眼、FRIODURの文字が双子マークとともに象眼され、最後は柄にマーク印刷となっていった。
BOXも紙製の黒、アイボリー、と文字違いとタイプが多く有り、プラスチックケースも、赤、白、灰と三色あるが、文字違いを入れるとかなりの数となる。

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ツヴィリング の商標を得た剃刀はとても多く、全ては把握でき無いが。

6・8・10
11-V・12・13・14・16・17
28
30・38
42・45
50・51・55・56・59
60
70・72・72-V・74・76・78
80・89
101・106・172
250
400・401・415・451・472
574
1159
Emperor
Vacuum

ヘンケルス 商標の剃刀も有る。

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ザッと調べただけでもコレぐらいの番手タイプが有る、ナンバーは同じだが柄のマークの新旧違いや柄の色違い、峰の飾り彫りがあったり、ブレード先端に床屋の切欠きと呼ばれる凹みがあるモノも有る。刃面に色付け刻印が有ったり、金色に印刷された文字の有るプレミアものなど、刃先の形状違いを入れるとかなりの数になる。
V が付くのはベタ刃の剃刀だ、#250 はツヴィリング J.A. ヘンケルスの創業1731年だから1981年に250周年記念モデルとしてに作られたナンバーで、色違いが何パターンか有るみたいだ。
Emperor と Vacuum みたいにナンバリングでは無くレーザー名があるモノもある。
番手数字の後に1/2と付くのは、剃刀の先の形状が四角いスクエアタイプでは無く丸みのあるラウンドタイプに1/2と付く。
柄は基本的にアイボリー色のプラスチック積重タイプが多いが、それ以前はエボナイト製の黒柄で銀色双子マークが象眼されている。晩年一般的なヘンケルスレーザーはアイボリー色の柄に双子マークと Friodur と文字が象眼されており、「FRIODUR」とは、ヘンケル社がオリジナルで開発したステンレス特殊鋼の名前だ。

コレクターの方にはコンプリートしたくなる魅力あるトコロだね。

西洋剃刀の重さ [剃刀 雑感]

前回、剃刀の重さの差による髭を剃る感覚の違い、剃刀を扱う感覚の違いがあるコトに気付いた。

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剃刀による髭剃り感覚の例えとして、剃れる剃れ無いだのは別として 滑らかな剃り味 が有るが、それは一体どこから来るのか?

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剃り味感覚の違いは、剃刀は何の鋼材を使用したか、両刃か片刃かでも違う。ホローグラインドも重要だ、ペタ刃とかコーンケーブの深さツマリ造りのコトだが、何と言っても最終的に研ぎに有ると思っていた。
しかし、剃刀の重さが剃り味には重要であるコトが分かった。


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手持ち西洋剃刀8丁の重さを計ってみた。

1000 H.DIAMOND. 48g
300 SANKAN. 47g
800 DAISHI. 50g
NT-77 CAPE KENNEDY. 52g
3M トキワ 岩崎. 52g
玉鋼 岩崎 ( 片刃 ). 45g
684 RED POINT. 37g
152 BULLDOG. 50g

37g〜52gとかなりの幅が有るコトが分かる。ネットで調べると60gオーバーの西洋剃刀も有るみたいだが、良く調べればもっと重いものもあるのかもしれないね。

因に日本剃刀には重さ違いで、半丁掛け(約30g以下)、一丁掛け(約30g)、二丁掛け(約43g)、三丁掛け(約60g)、四丁掛け(約73g)、五丁掛け(約90g)、と、何丁という数字で重さが分けられてるみたいだ。
因みに五丁掛けのサイズは(カッコ内一丁掛け)長さ19.0cm(15cm)、刃長6.5cm(4.5cm)、刃幅3.0cm(1.8cm)、とカナリでかい。
(柄の大きさや長さ、峰の厚み等で剃刀の大きさ重さは前後する)


う〜〜む 重い西洋剃刀を使ってみたくなった。

玉鋼 ㊂ 岩崎 ② [剃刀 雑感]

㊂ 岩崎 3Mトキワ を1ヶ月使ってみて分かったのだが、前に使っていた似た形状の谷藤や林に比べやや剃刀自体が重く感じるセイなのか剃り味が気持ヨイ!

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多分微妙な数gの差なのだが、それが剃り感に影響するのだろう。

大きく重い剃刀はヒゲの濃い人や多い人用的に紹介されている。
私は髭モジャでは無いのだが3Mトキワの剃刀は使い易かった、重いのが好みなのかも知れないね。

今迄は2ヶ月で西洋剃刀の交代だったが、日数的に早いが今月から 玉鋼 ㊂ 岩崎 の出番とした。3Mトキワに比べ軽く刃線の長さも半分ぐらいしか無いし、手持ちの中でも剃刀が軽い方だ。

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刃は日本剃刀式で西洋剃刀の様に折りたたみ式の柄が付いている 玉鋼 ㊂ 岩崎の特別仕様みたいだ。
何が楽しみかと言うと、先ず 日本剃刀式の刃で剃るコトで、剃刀の刃の造りや研ぎ方もかなり違うみたいだし、やはり何と言っても三条製作所 岩崎氏が鍛えた玉鋼 剃刀を使い髭を剃るコトがとても魅力的だ。

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これを使うタメに、この数カ月剃刀の刃の片面だけで剃る練習をして来たし、それだけ片刃の剃刀に思いを馳せてきた。

謎が多い片刃の日本式西洋剃刀は、両刃とは違う片刃なりの剃り方があるのか? 刃の裏と表では剃り味が違うのか? 研ぎ方はどうなんだ? ラッピングは?

などなど、楽しみが尽き無さそうだ。

凸R 刃線の剃刀 [剃刀 雑感]

剃刀を研げば刃線は直線になる。当たり前だが砥石は真っ平ら 平面出しをどの参考書や文献をみても砥石は真っ平らが基本らしい。

やまと古民具骨董市で購入するか迷った気になった剃刀が有って、刃線が直線では無く凸Rが付いているのだ。


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左から SK1・SK2

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SK3

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135 KIKUBOSHI


世界で類を見ない日本製の曲線刃と言えば 斎藤隆一氏製作の R.SAITO のSK1.2.3シリーズと彼のイニシャルであるRSがくねった独特の柄に象眼されていて、取っ手にはRS SK3と刻印がされた4パターンと、KIKUBOSHIブランドでR.SAITOの135と165の計6タイプ が 現在ネット上で確認できる。
骨董市で見付けたのは極端なR凸曲線では無く、SK3や135KIKUBOSIのR900位の緩やかなRだ。

3次曲線の顔を直線剃刀で剃るのは頭で理解してるし、引切りの切れ味も包丁で確認している。
しかし、3次曲線の顔面に凸刃線の剃刀を当てたらと思うと理にかなってる気持ちが強くなり、どうしても試したい。

それと、その凸R刃線剃刀を研いでもみたい。
その剃刀を研ぐには砥石もカマボコ型の凸R砥石が合うに違いない。
R砥石は手持ちには無いが前回行った骨董市に売り出ていた砥石の中にRの付いたカマボコ型の砥石を見付けている。なんだ?と思っていたが剃刀の刃と砥石の接点が線と点で研ぐ為デリケートな刃を研ぐにはもってこいかと思う、ましてや凸Rの付いた刃線の剃刀はこの砥石でないと、とも、思う。

凸R刃線の剃刀を使い剃ってみたいものだ。きっと目からウロコのような気がする。


㊂ 岩崎 3M トキワ ② [剃刀 雑感]

桜満開の時期となり、2カ月近く使っていた谷藤製CAPE KENNEDY NT-77の次、岩崎3Mトキワ の出番となった。

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西洋剃刀1丁を、ほぼ毎日2カ月間ほどかけて剃り味をジックリ味わうワケだが、今迄4丁使って見て、谷藤福太郎製CAPE KENNEDY NT-77は問題無く優等生だ。研ぎやすくキレイに刃が付き、間違い無く気持ち良く髭が剃れる。

最初に手に入れた林市太郎製1000H.DIAMONDと比べると、全てが凄く似ているのだが不思議と違う剃り味なのだ。顔半面づつ違う剃刀で剃り比べをしてみると良くわかるのだが、ナントも面白い。





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今月に入り岩崎重義製3Mトキワを使い始めた。
コレもまた同じような仕様でとても似ているのだが、前2丁と鋼が違う様な気がする。
3丁とも炭素鋼ではあるが 3Mトキワはスウェーデン製のハイクローム鋼では無いような?? はて?
研いだ感じも違うし、剃った肌の当たりが違うのだ。
逆蛤コンケーブの肉の厚みが反ったRと共に微妙に異なり、刃線の造りが鍛冶の段階かコンケーブRの研磨の段階で違うのか、各々ブランドによって独特の味付けをしているようだ。

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(左から、林、谷藤、岩崎 )

好みと言ってしまえば其れ迄だが、本当に微妙なのだ。

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コレから2カ月間ほどは、岩崎3Mトキワを使っていくワケで、とてもワクワクしている。
誰もが認める岩崎の剃刀をアアでも無いコウでも無いといって研いで研いで剃って剃って堪能するのだから愉しい日々が続きそうだ。


“ べっ甲 ” ガラの柄 [剃刀 雑感]

手持ちの西洋剃刀の柄で好きなのが、最初に手に入れた1000 H.DIAMOND で、とても綺麗なマーブルガラの柄だ。

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調べるとネット上にアップされているマーブルガラの柄の西洋剃刀をみて見るとイロイロと有り、なかなか奥深いと知った。

元々古くは “ べっ甲 ” と言われる 海外産ウミガメのタイマイ甲羅を何枚か合わせて作られて、加工しやすい材質の工芸品で有り、黒や赤茶などのガラが無い少し赤黄色の透明感のある単色のモノがべっ甲では最高級らしい。また、櫛など通常に使われていたモノでも有るらしいが、現在はワシントン条約にて輸出入を規制している。

骨董市でも沢山のべっ甲品を見かけるが、良く出来ておりシロウトには見分けるのが難しいみたいだ。

西洋剃刀の柄にも べっ甲 ガラ似のマーブルの柄が数多く見られる、ホンモノの “ べっ甲 ” では無くほぼ全て人工的に作られた、古くはセルロイドマーブルで、近年ではアセテートマーブルだ。どちらもプラスチック樹脂の類いだ。

近年では使われなくなったセルロイドだが、古い西洋剃刀のマーブルガラの柄はほぼセルロイド製だ。湿式で作られ170℃〜190℃で発火するタメにものすごく危険で職人の手でしか削れないが、型崩れしずらくしっとり感がありツヤも出やすい。

最近よく見かける“ べっ甲 " ガラの眼鏡フレームも含め以前から セルフレーム と呼ばれるがセルロイド製では無く、全てが“ べっ甲 ”に似せて作られたアセテートモノだ。
アセテートは複雑なササ柄も作りやすく、柔らかいので加工調整しやすい。セルロイドに比べ衝撃強度がやや劣り吸水性もあり、長期間使用すると白く変色するコトがある。

作り方には乾式と湿式の二通りあり、パキッと斑のハッキリした製法と班がモヤっとした溶け込むような斑とある。

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ガラのパターン的に左から、トラフ柄、デミ柄、ササ柄、と大きく分けて3パターン有る。しかし手作りのタメにバリエーションは豊富となり、同じものは一つと無い。

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見ると1000 H.DIAMONDは、セルロイド製 “ ササ柄 ” のマーブルガラのようである。
年代物のセルロイド製ハンドル柄が付いた西洋剃刀は数も少なくなり、当然 貴重 だ。

現在新たに作られている海外モノの西洋剃刀はセルロイド製では無く、安全なアセテートやカーボン板、天然木、金属など素材は多岐にわたる。

同じモノが一つと無いマーブルガラの柄は、世界で唯一無二の西洋剃刀と思うとグッと来るものがあるね。

谷藤製 西洋剃刀 [剃刀 雑感]

九州へ出張となり、気分を変えソロソロ次の西洋剃刀を使うコトに、谷藤福太郎氏作製のCapeKennedy・CAPE NT-77 が今回から旅のお供となった。

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“ 77 CAPE–KENNEDY RAZOR ” は 昭和46年 (1971) 谷藤福太郎氏が喜寿(77歳)の記念にNICHIRI(日理)から発売した喜寿記念限定品。(詳しくは髭剃りの友Blog、西洋剃刀 CAPE NT-77 参考)

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手に入れてから、研ぎ直した時にCAPE NT-77で試し剃りはしたが、当時愛用していた林市太郎氏作製の1000 H.DIAMONDと作りが良く似ている、何方もスウェーデン・ハイ・クローム鋼、ホローグラインド ( 逆蛤 ) だ。
刃角は、H.DIAMOND 19°02’・CAPE NT−77 19°47’と+0°45鈍角で、何時もの試し切りでは、毛先を摘んだ1本の髪の毛を切った時の音がCAPE NT-77の方がやや低い。
オーソドックスな1000H.DIAONDと比べ、ベタ刃の300SANKAN、玉鋼の800DAISHIとタイプの違う西洋剃刀を使ってきたので、CAPE NT-77を使うコトは私が西洋剃刀に持つ基本イメージに戻る感じだ。

良くしようと突き詰めて行くとモノは似てくるのかもね。



剃刀の数 [剃刀 雑感]

西洋剃刀がネット上に売出しているのを見るのはとても参考になる。
売り手の中には剃刀に対しての造詣が深い方もおられ、ブランド名や製作者の解説や逸話などがチョイとでも出してくれると ありがたく フムフム となるワケだ。

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( 日本らしいモチーフの瓢箪、人力車を刻印にしてしまう発想が面白い )

形や色デザインなども多種多様でとても興味深い、ハンドルや柄に刻印された商標やネームなど見ていても次から次へと出て来て “ ほ〜 とか へ〜 ” って感じで、ホント多種多様で飽きない。

興味深いのは図案化された商標だ。大変良く出来ている、狭いハンドル部に凝縮してあり漢字やら横文字、数字に図案、盛り沢山だ。
和風のモノがお気に入りで、いつかは手に入れたいモノだが、今は髭剃りのタメの実用品としての西洋剃刀所持が信条なので、眺めているだけだ。

調べ計算してみたが、日本ではストレートレザー制作が盛んだった1960年、(因みに日本では両刃T字の安全剃刀が出て20年経っている) 今から55年前辺りの日本国人口は9300万人ぐらいで、男子が人口の半分だとして4650万人、ストレートレザー使用人口ピークも越えていたと思うが、男子人口の髭剃りしているであろう数はその内の80%ぐらいの3720万人だとして、髭を剃らないなどなんらかの理由があったりで、その数の半分としても1860万人が日本で毎朝ストレートレザーを使用していた事になる。つまり1860万本のストレートレザーがその当時は現役で必要とされていた、実際はそれ以上遥かにストレートレザーは現存したはずだ。

そりゃ、次々と出て来るワケだ。


片減り剃刀のワケ [剃刀 雑感]

ネット上に片減りしている剃刀をたまにだが見かけるので気になっていた。
どれも刃先の先側が減って刃幅が狭くなっていて、肩(刃尻) 側の刃幅が広く片減りしているのだ。因みに逆は見かけたコトが無い。

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( 片減り剃刀のイメージ )

刃線が傾いてきたり曲がってきたと気が付いたらサッサと直せば大変なコトにはならないだろうに、と、思っていた。

刃線が波打つなんてのは有り得ないし論外だが、たまに真ん中がヘコんだりで刃線が直線では無い湾曲した剃刀が有る。
そんなのは砥石の砥面が平面では無いからで、理由は分かりやすいし想像もできるが、問題は刃線の先端刃先の先、包丁で言う 切っ先 が研ぎ減って剃刀の刃線は真っ直ぐだが先に向かって斜めになってるのが使い込まれた剃刀に多い。
持ち主がシロウトだと不思議ではないが、プロが使用したであろう剃刀にも有ると感じられる。

何故か? 私なりに考えられる理由は3つ有る。

1つ目は、剃刀を研ぐ時の刃を押さえる指先の位置が刃先側にあり、刃先側を押さえる圧力が少しでも多くなればゆくゆく当然刃先から減る。

2つ目は、8の字研ぎと言われる研ぎ方などで、切刃が均一に砥面上を刃先と刃尻が同じ長さのストロークで研がれていない。手首を使い円運動で砥面をクルマのワイパーの様に剃刀を滑らし砥ぐと刃先が刃尻より速くて多く運動するので刃先が微々に減る。
また、キッチリ刃尻(刃元)を砥石に当てず8の字研ぎなどをするので当然刃先しか研げないので刃先が減るのは当たり前。

3つ目は、革砥でのラッピング時において、刃全体を革砥にピタリと当て平行にラッピング出来れば良いが、手首でコネてしまうと均一では無く刃先の運動が当然多くなりコレも微々たるがやはり刃先の先が減る。

私の様なシロウトが自分で使うために砥石に当て革砥でラッピングし使っていて片減りしたとしても、自分が納得した剃り上がりであれば問題は無いかと思う。

プロが仕事で毎日剃刀を研いでいれば刃先が減るのも早いだろうし、実際に剃ると分かるが刃先で剃ることが多く使っても刃先から3分の2辺りまでで刃尻は使わないから刃尻は切れなくても仕事でキチンと剃れれば良く、剃刀は消耗品と考えれば片減りも余り気にしないのかもね。

私はイヤだが。

究極の剃刀刃 [剃刀 雑感]

切れる刃物とはこんな感じだ、と言える明確なイメージが子供の頃から有った。

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子供の頃に読んだ横山光輝のマンガで、水滸伝に登場する半面青痣の「 青面獣 楊志 」が持っていた刀で “ 吹毛剣 ” ( すいもうけん )だ。銅銭を真っ二つに切ったり、髪の毛を剣に吹きかけるとそれだけで髪の毛が切れてしまうほど、切れ味鋭い名剣がイメージとして有るのだ。

剃刀を研ぎ始めた頃から切れ味チェックで髪の毛を使うので、私の頭の中には楊志が行った吹毛剣の切れ味が如く、吹きかけて髪の毛を “ ハラリ ” と、切ってみたく、イヤ切れるのでは無いか、と、何度か丁寧に研ぎ上げた剃刀に髪を吹きかてみたが、未だかって切れた試しが無い。

と言うより、実はなかなか髪の毛を上手く吹き飛ばせ無いのだ、そっちの方もカナリの練習とコツが必要だと思う。髪を吹き飛ばすタメには突風を生む筋力と肺活量が必要だとスグに気がつくはずだ。

楊志はマンガの中で自分の毛を一本引き抜き、フッ っと吹き、髪の毛もふんわりそよ風に漂うみたいに飛ばし、剣に触れた途端スパッと切れる、そう!ヤツは全てにおいて達人なのだ。

いつの日か吹毛剣の如く吹いた髪をスパッと切る、究極の剃刀の刃に仕上げたいものだ。


刃先の角度 [剃刀 雑感]

以前、保有する西洋剃刀5本の刃先をマイクロスコープでチェックした時に切刃幅の違いについて疑問に思ったので検証してみた。

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5本とも製作所違いで刃厚が違うし、使い込み度で刃幅と峰の厚みが変わったり違ったりは当たり前だが、手持ちのモノは280ミクロン内 で切刃幅に差がある。と、いうコトは、革砥を当てて糸刃を付けた刃角は考えないとすれば、切刃の刃先角度はみな微妙に違うコトになるよね。
刃先の角度は金属板とデジタルノギスの数値を三角関数にて求めた。刃先には薄いがセロハンテープで養生したので誤差調整しても多少狂いが出たと思うがほぼ正しいだろう。

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*左から
1000 H.DIAMOND 19°02’
300 SANKAN 15°38’
800 DAISHI 20°24’
CAPE NT−77 19°47’
岩崎 3M トキワ 19°17’

他の刃物をググって、日本刀や包丁などと比べても剃刀の刃角は鋭角で20度前後だった。

300SANKANの斗出した数値は他と違う唯一のベタ刃によるものなのか、刃は重いが峰厚は少ない。1ヶ月ほどコレばかり使って剃っているが刃角の少なさは全く感じ無い、ベタ刃なので逆に刃先の厚みを感じる。

800DAISHIのオバー20°は、この西洋剃刀の特性もあるのかも知れないが、見るからに新品の状態より研ぎ減りしている。西洋剃刀を普通に研げば峰より先に刃がチビって行く構造だから何年も使って行けば当然だが刃はチビって峰には厚さが残り刃角は大きくなる。この800DAISHIもそんなトコかもしれない。

刀や包丁は引切りをするために長い上に刃も湾曲し峰が反っていたりしているので、引切りすれば剃刀以下の鋭角な刃角になる場合があるが、刀は硬い骨なども切るので34度前後、包丁は24度前後でモノによってはそれ以上だ(小刃角は別)。剃刀は引切りをしないし硬いモノも切らないので最初から鋭角で薄い刃が付く。刃物の中で剃刀は良い鋼材のモノをキッチリ研ぐとズバ抜けて切れる。

日本刀研磨には 観賞用に磨き上げる意味合いと他に “ 寝刃を合わせる ” という言葉がある。キレイにピカピカに研ぎ磨き上げた刀をワザと刃先をザラつかせる磨き方をする。その方がより実戦的に良く切れるモノになるらしい。

西洋剃刀もそうだキレイにピカピカに研ぎ磨き上げた刃先を革砥に当てて刃先を荒らし小刃を付けるコトにより刃角を大きくし刃欠けに対処する。剃刀研ぎには髭を剃るという常に実戦的な切れを求められてる。
ましてや結果は自分に直接跳ね返ってくるワケだから気が抜けない、いつも実戦配備真剣勝負だね。

試行錯誤を繰り返し実戦研ぎをしているワケだから剃刀研ぎが上手くなるのは当たり前だ。



剃刀の持ち方 [剃刀 雑感]

髭剃りスキルを上げる為にYouTube先生で手順など見直ししてると、剃刀を右左の手に持ち替えたり柄の角度を変えてみたり顔を器用に使う人がいて、それぞれの剃り方で正解はないんだなぁと思う。
私は剃り始めから剃り終りまで剃刀を持つ手は利き手の右手一本なのだ。

西洋剃刀は両刃なので刃の裏表を手首の返しのみでほぼ剃り終わるが、順剃り逆剃りを丁寧にしようとすると、刃の裏表を使うために何度か剃刀を持ち変える必要がある。

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持っては無いが、片刃の日本剃刀は片刃包丁のように右利き用と左利き用があるのかな? 思うに片刃だと裏表で肌に当てた感覚は当然違うだろうし、厳密にはモチロン切れ味剃り味も変わるのだろうね。

刃角だけで見れば表と裏で測っても同じだから、切れ味剃り味は表裏どちらでも一緒ってコトになるのかな?

他人様の髭をアタル理容師は片面だけで剃り上げるコトが出来るだろうけどね。
日本剃刀の刃に銘を刻印してある方が裏( 裏スキって言うし )として、どちら側を肌に当てるんだろうね? 包丁的に考えて見れば刻印の有る裏側を肌に当てるのだろうけど、日本剃刀は右手で持つと刻印の無い表側を肌に当てるんだろうね 、そっちの方が剃れそうだし。

日本剃刀式が世界的に普及しなかった理由というのが、片刃であるコトや柄が無く刃がムキ出しだからか? きっと他にも理由があるんだろうね。

片刃の剃刀って使い心地などとても気になるね、いつかは試したいモノだ。

切れると剃れる [剃刀 雑感]

最近西洋剃刀をセッセと研ぎ上げては、顕微鏡でミクロンの世界を覗き、刃先の美しさ、切れる切れないそんなコトばかり気にしていた(キライでは無いが)。剃刀に合う砥石をチョイスして、研ぎの腕と知識がある程度の域に達すれば剃刀はスパスパよ〜く切れる。

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しかし、“その剃刀で髭が剃れるか?” となると話は別。
包丁やナイフのよ〜く切れるモノでも髭は剃らない、そんなモノで髭は剃りたくないし、用途が違う。
最近買った包丁研ぎの本も、遠からずと思ってはみたがやはり剃刀研ぎとは全く違う。切れる切れないで言えば切れた方が断然良いが、ただ、剃刀は肉や野菜を切るワケでは無く、自分の肌に当てて髭を剃るタメのモノで、試し切りでスゴく良く切れても気持良く剃れるとは限ら無いからだ。
肌に直接当てる刃物だから、プロもアマも関係無く、ど素人にも遥かに高い次元を最初から求められる(ケガするからね)。

大切なのは、自分で自分の髭を安全に気持ち良く上手に剃るコト、シェービングテクニックをググッと上げれば自ずと “ 剃れる剃刀とはなんぞや ” が見えてくるかもね。

切れ味と剃り味 [剃刀 雑感]

最近使用を続けている300SANKANペタ刃だが、5カ月使い続けた 1000H.DIAMONDとは明らかに剃り味が違う。肌に当てたスマートさが全く違うのだ。

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左・300SANKAN 剃刀の峰から刃先にかけてコンケーブ(えぐれ)の少ない“ ペタ刃 ”と呼ばれる。見た目的に、刃厚の有る刀やナイフの様な武骨なイメージだ。

右・1000H.DIAMOND コンケーブのRが絶妙だ。ここの造りで肌へと伝わる感触の違いが出るポイントだ。刃が薄く繊細な感じのイメージを受ける。


髪の毛先を摘んで根元側から切って行く切れ味チェックでも音が違い過ぎる。1000H.DIAMONDの切った時に出る“ カン ” という澄んで華やかな高音質は誰もが魅了されるハズだ、また音に似合った指先に伝わる切り離れ良い感触はたまらなく良い。300SANKANは “ ブッ ” っと地味な低音と切ってる感触が重く指先に伝わり寡黙な感じがする。感触はまるで違うが、何方もよ〜く切れるし問題無く髭は綺麗に剃れるのだ。

私の髭は太からず細からず、多からず少なからず で至って一般的な太さと量だと思うのだが、肌に当てて実際に剃ってみると。1000H.DIAMONDはチリチリリと剃って行く軽快な剃り味だし。ゾゾゾゾーと剃れて行く300SANKANは言うならば力強い剃り味なのだ。
甲乙付け難く何方も剃る感触に味が有り全てがお気に入りだ。

髭を剃っていて “ おぉ〜 ” と毎回思う300SANKANの剃り感が頼もしいのはペタ刃の特性なのかもね。


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