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叶山革砥 ④ [革砥]

先日、カノヤマ革砥製作所の直海さんから 仕上がったから と連絡が有り、引き取りに行った。


古い革砥の再生をお願いしていたワケだが、#2000と#30000 、馬表革の荒砥の3本だ。
いずれもカノヤマ革砥製作所製で、言うなればメンテナンスをお願いしたというコトだが、直海さんの言い方では、革砥を “ 入院させる ” と独特の言い回しではあった。
(普段は革砥のメンテナンスは受け付けていないみたいだ)

手持ちは、新品現行品のカノヤマ革砥製作所製で直海さんが直に製作された、#40000番と珍しい新品の表馬革の “荒砥 ”。そして退院してきた、中古で手に入れたカノヤマ製の#2000番と#30000それに馬表革の荒革砥の5本となった。

あんなにテカテカカッチカチだったのだが、メンテナンスをお願いした革砥3本は全て新品が如く柔らかくしなやかに仕上がってきたのだ。


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何時間もドラムに入れ、何度もローラーにかけ、グラインダーで番手を少しずつ上げて行き革砥の表面を整えたと言っていた。古い革砥の方が手間がかかると言っていた。
確かに、私が大量の馬油を揉み込み高温アイロンでプレスしたが使い物にはならなかった革砥を良くココまで復活させてくれたモノだ、有り難いやら申しワケないやらで恐縮至極、正座のまま足を崩せなかった。



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珍しいモノを見せてくれた。革砥に押す印が箱にガラっと入っており、アレコレ印の説明をしてくれた。一つずつ写真を撮りたかったのだが余りに多いので次回折を見て伺おうと思う。
製作過程も記録に残したいモノだ。

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精力的に製作しているみたいで、新作も見せてくれた。長さ的には同じだが取っ手が付いている分革の部分は通常よりも短い、取っ手にはパラシュートで使われるコードが巻かれていた。剃刀というよりナイフ用なのかな? もちろん LLAMA BRAND だが、箔押しで77と有りいつもの番手表示では無かった。直海さんに77とは?と聞いたら、意味は無い と言っていた、雰囲気なのであろう。

国内外でオーダーが有るみたいで、お忙しそうであったが1時間以上話に付き合ってくれた。
最後の革砥職人と自負しておられるからこその職人気質が話の節々に迫力として見られた。

一筋で生きて来られ、また磨かれた意識がカッコ良い、そうなりたいモノだ。

叶山革砥 ③ (馬表革荒砥) [革砥]

先月始めに「すみだ郷土文化資料館」に行った帰りに、近いというコトもあり「カノヤマ革砥製作所」に寄ってみた。

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初めて伺った時に見た牛革の革砥、コードバンではなく牛の表革で作った革砥の荒砥と、世界で唯一となったコードバンでの革砥製作者 直海氏 が言っていたのが気になっていた。


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カノヤマコードバン#40000番を手に入れ西洋剃刀の刃を研ぎ磨き上げられ申し分の無い仕上がりとなっているが、布砥と仕上げのコードバン革砥の間に革砥の荒砥を入れると良いと言っていたのだ。

ガゼン使ってみたく、近所にある骨董屋に荒くカチカチの革砥が何本か下がっていたのは知っていたが、旅用ハンディ革砥を製作するのにあたり使うには手入れをしないとキビシイであろうツルピカ革砥3本全部ととバックスキンのような荒く分厚い白っぽい生成り色のカチカチ異色の革砥も手に入れた。多分これがカノヤマ製作所で見た革砥の荒砥と呼ばれるものと同じであろうと思えたのだ。
しかし。このようなバックスキンの荒い革砥だと刃が付か無さそうで、試しでストラッピングしてみたが案の定、いつもの切れ味チェックでは全く切れなくなった。


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カノヤマ製作所で手に取った牛革砥の白い荒砥は薄くとてもしなやかで柔らかかった。伸びてしまうのではなかろうか、と、心配するぐらい柔らかい。
カチカチ革砥とは別物だ。

そんな、疑問も有りカノヤマ製作所へ2度目の再訪となったのだ。
手持ちのいつものコードバン#2000・#30000・#40000、と今回手に入れたバックスキンの革砥の4本を持って行った。

直海氏に話をすると、牛革砥の荒砥では無く、もう作らないと言っていた馬表革の荒砥で表面など革砥としては出来上がっていたが商品としては未完成の革砥を見せてくれた。通常よりかなり長く穴も開いてなかった。
持参したカチカチの荒砥を手に取り、ダメだ と思ったのか、「待っとれ」と言って、製作過程は見られなかったが、未完成の革砥を前回買った大き目の#40000番に合わせてカットし(66×666×45)穴を開け仕上げて譲ってくれた。

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#20000・#30000とバックスキンのカチカチ荒砥は、カノヤマ製作所に普段は面倒でやら無いと言っていた、仕上げ直しに出させてもらった。カチカチ荒砥も馬の表革でなんとカノヤマ製だった。

71歳直海氏に気長に待ってくれと言われた。彼の住む東京浅草も当然猛暑続きで有る、無理はしないでほしいものだ。


今年中に仕上がれば御の字、気長に待つのも楽しみの一つだね。


叶山革砥 ② [革砥]

手元にある革砥3本はカノヤマ製コードバンストラップというのが判明したワケだが。

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新古の#2000番、中古の#30000番、新規参入新品#40000番というラインナップと成った。

手元にある西洋剃刀、曲線刃以外の9丁を順次ラッピングして、髪の毛でいつもの切れ味チェックをしてみた。ハッキリ言ってラッピングフイルム#15000→ダイヤモンドペース#100000と最終ラッピングが終了しているレーザーでは有るが、まず、革砥#2000番でのラッピング、革砥をピンと張りねじれない様に力を入れず刃重に任せてのラッピングだ。全く問題無く髪の毛チェックでとても良く切れる。
革砥#30000番で同じ様にラッピング。スゴく良く切れる、ラッピングテクニックが上がったのか!? 直海氏が言った通り番手に10倍以上差が有るが、切れ味に差はあまり感じられない仕上がりにどの西洋剃刀もなった。

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         幅  長さ  厚さ
# 2000   68×600×4.3
#30000   64×650×5.4
#40000   70×665×4.0

直海氏が憂いていたが、古い良き時代とは違って、現在は良いコードバン(大きく厚さが有り、それが均等なコードバン)が仕入れられないと言っていた。

革砥#40000番でのラッピング。
ハッキリ言ってヤバい別次元なのだ。元の革砥2本が駄目なのか?そんなワケは無いハズだ、確かに直海氏に “良い革砥だね” とは言ってもらえなかったが、使っていればゆくゆく古くなり使う頻度、経過した時間が長ければそんな革砥に成るはずだからね。
だが、#40000番は、剃刀の刃が革砥に吸い付くのだ。大袈裟では無く、ピターと張り付いたままラッピング出来るのだ、革砥面がシットリしてるというか、革砥は研磨道具というのが剃刀を当てれば良く分かる。
手持ちのどの西洋剃刀もスカっと気持ち良く切れる仕上がりと成った。

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確かにラッピングフィルム、ダイヤモンドペースト、どれも剃刀の刃に素晴らしい研磨材だが、求めている理想的なスタイルは革砥でラッピングして西洋剃刀で髭を剃る姿なのだ、それを家族に見せたいし、自己満足したいのだ、世界一切れれば良いというワケでは無い。

今となっては世界唯一の革砥、カノヤマ製コードバンストラップ、目から鱗の研ぎ味を味わった。


叶山革砥 [革砥]

私が憧れた髭剃りとは、「シェービングカップとブラシを使い口のまわりをクリーミィな真っ白な泡で包み、まま革砥で刃をパシパシと整えカッコよく髭を剃る」のが理想だ。

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理想通りには成っておらず、全く不満なのだ。

問題は革砥だ。キレッキレの刃にするにはラッピングを革砥以外に求め無くてはならず、ラッピングフイルム#15000 や 最近はダイアモンドペースト#100000なんぞも試し駆使している、確かにキレッキレの刃が付き良く剃れるが、大切なのはそんなコトでは無い理想のスタイルとはほど遠いのが現状だ。

何故なのか? 髭を剃る度に気になっていて、ズルズルと解決しない無いまま1年が過ぎようとしている「革砥」 に問題が有るからなのだ。
自己流で革砥の手入れを良かれと思えるコトは全てやり、どうだこれで完璧だろうと思ったりしたが、いかんせん中古と新古の何年モノか分からない革砥だ、詳しい知識も無くコレで正しいのか間違いなのかが判らないのに革砥の能力を疑ったりしていた。

前に、岩崎航介氏著の「 革砥の手入れ方法 」を運良く入手したが、何度読み返しても革砥の手入れ方法が余りに大変そうなので、ましてや文面だけで手順図解も写真も無い、むむむむ!このままでは理想的なシェービングは出来そうにない。他所様のブログで新品の革砥をゲットされた方のコメントは「コレ以外の革砥は全てお蔵入り」的な文面だったと思うが、この1文がズ〜っと引っかかっていた。

「やはり、新品を使ってみたい!」ならば!と、現在使っている革砥と西洋剃刀を6丁ケースに入れて、家から車で1時間もかからない浅草にある日本唯一、いや今となっては世界唯一の西洋剃刀、ストレートレーザー用のコードバンによる革砥を製作する叶山革砥製作所 (カノヤマコードバン) へ伺い確かめるコトにした。

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入り口には紙にマジックで大きく カノヤマ と書かれていて画鋲でとめてあった、それ以外は看板もなんにも無い。だが、遠くからでもすぐに分かった、なんせ、建物のペイントが 革砥を吊るした柄 に私は見えたからだ。(すでに舞い上がりトチ狂ってる)

80歳を越えられた世界唯一である革砥職人 直海 義則 (ナオミ ヨシマサ)氏にお会いするコトができ、2時間近くいろいろとお話ができた。( 叶山、カノヤマ とは屋号である )
実際は聞きたいことの10分の1も緊張で聞けなかったが、伝説の人と夢のような時間を過ごさせて頂いた。

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まず聞きたかったのは、「革砥だけでキレッキレになるのかどうか?」と、持参した私の革砥で問題無いかどうかだ。

革砥を手に取り、答えは、「革砥が良くないと切れません」だった。ふむ、やんわりと持参品は不合格であるコトが伝わった。

革砥に箔型押しされている数字、その番手違いは何の意味が有るのか?

直海氏曰く、「 革の厚みの違い 」とキッパリ。白く長い革砥の入った箱から、同サイズ(68×600)の #10000・#30000・#50000 の 3種と 革砥サイズが大きく、今後この番手は作らないと言って後から出してきた大きな #40000番(70×665) の4種で革砥のクオリティの違いを仕入れの段階の革から分かりやすく説明してくれた。

コードバンをドラム式の洗濯機のようなものに40℃のお湯とオイルを入れて革の厚さによって、2〜3時間程しなやかに成るまで回すのだそうだ。
そこからサンドペーパーの800番、機械式のグラインダーでなめして行く、どんどん細かく番手を上げて表面を滑らかにしなやかに、コレも2〜3時間かかると言っていた。大変な作業なんだと言っていた。
靴屋と違って、コードバンに裏革を当てて厚みを出すコトはしないし、財布などの小物などに使うコードバンと違い、革砥は大きいので仕入れた革によっては革の部分が均等で無く全てが使えなかったりと大変みたいだ。
カノヤマコードバンの番手は、厚さが全て均等でクオリティの良いコードバンであればある程数字が大きい番手と成る。つまり、厚みが一定で大きい程良いモノと成り番手が大きくなり価値も高く成るというコトなのだ。

直海氏は、「だが数字の番手が小さくとも、しなやかな革砥で剃刀を仕上げれば、剃刀の切れに差は出ない、どの革砥も一生懸命作っている」と言っていた、真面目な根っからの職人なのだ。

ここ数年良いコードバンがなかなか手に入ら無いと嘆いておられた。

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新品のしなやかな白い牛革の荒砥と呼ばれる革砥も見せてくれた、今は牛革しか作ら無いが以前は馬革で荒砥を作っていたそうだ。

実際は、布砥と馬(牛)の表革の革砥(荒砥)とコードバンの革砥の3本で仕上げると良いみたいだ。

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私の革砥#30000(64×650) の仕上げを見てもらった時に驚くコトが分かった。
私の革砥を見た直海氏は 「この革砥は私が作った物だ、ホラ 直海 って名前が入ってるだろ」 、、、どこどこ? ホントだクロスの中にアルファベット横書きでNAO、縦にMI  NAOMIと読めた! ビックリした。
ずいぶん前の革砥だね、革が良かった時代の物だフックも止め金具のネジもランクの良い物が使われているから。と、言うコトは、刻印が同じ私の手持ち革砥2本はナンとカノヤマ製だったのだ。私の#30000は布砥エンドの革も縫い付けており当時かなり品質高いモノだったみたいだ。布砥エンドの革は今はのり付けしかやってないらしい。

今の刻印はLLAMA印と丸いKANAYAMA印と月桂樹に番手数字の3つの刻印モノしか作ら無いと言っていた。(刻印は40種類位有るそうだ) CAUTION!と英文がズラズラ出ている箔押しも有るが、何が書いてあるのか覚えちゃいないし、分から無いと言っていた、当時はそんなモノだったらしい。私も翻訳したが英文がまともで無いのである程度しか分からなかった。

この(浅草)界隈は革屋が多く、革砥屋も10軒以上あったがウチ以外無くなった。弟子になりたいとTVに出てから何人か訪ねてきたが全て断った、そんな甘いもんじゃない。確かにそう思ったし伝わった。

叶山革砥、カノヤマコードバン 現在唯一 半世紀以上コードバンでの革砥作りをしている直海義則氏がこの番手はもう作らないと言っていた貴重な#40000番を手に入れ、今後私もこの革砥以外使わない等と言うのだろうね。


革砥の手入れ ③ [革砥]

以前、革砥の手入れ ② にて何だかスッキリしなく モヤモヤしたまま今に至るワケだが、岩崎航介著 「 刃物の見方 」 にて革砥の扱い方が端折られていたタメで、何が正しいか? が謎?であった。

思いがけず、岩崎航介氏の新聞記事を目にすることが出来た。
公衆衛生新聞社発行の昭和37年2月15日付け環境衛生ニュースに 「 レーザーと日本剃刀の研ぎ方 」 という内容の執筆記事だ。「 刃物の見方 」の初版は昭和44年2月10日だ、つまり随分前に革砥に付いての確かな考えが有ったのだろう。

50年以上前の記事で著作問題もうるさく無さそうだし、内容が素晴らしいのでチョイと載せてみる。
謎?であった 革砥 に付いての記事が多く有り、「革砥 」「 革砥とズックの手入方法 」 と 「 ラッピングの原理 」「 ラッピングの掛け方 」中でも とても唸った記事が 「硬い革砥を軟にする方法」 だ。

硬い革砥を軟にする方法
1 洗面器の中に水を入れ、金具を外した革砥を中で充分に揉み上げる。水中から取り出して、しごいたり、揉んだりすると革砥は軟になる。
2 濡れたまま板の上に置く、革砥が薄いと昆布の様に縁が縮むが、ビール瓶で擦れば平なる。
3 くねくね曲がったら、二枚の板に挟んで両側から押し付けて、真直ぐにする。
4 濡れた革砥の表面から、牛の爪油を塗る。
5 二三日陰干しすれば軟になる。
6 油を多く塗り過ぎたなら、水中で静に揉むと、爪油だけは、水に溶ける性質があるので、水中に溶け出る。
と、詳しく有った。

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先ず、革砥手入れの謎?に対しての衝撃だが、馬の尻の革であるコードバンに馬油で無く 牛の爪油? ってトコだ! 調べると爪油の種類の中には時計の機械に差す油も有るのだが、使用目的に多いのは革の製造段階でしなやかにする保湿剤として使うみたいだ。爪油のネーミング通り現在も馬のヒズメの手入れにおいて乾燥を防ぎ潤いを与える保湿剤でも有るらしいのだ。
油といっても水溶性だから普通イメージするアブラとは違うのだろうね。

ネーミングが馬の爪油では無く牛の爪油だし、馬革コードバンに与えるのだ。ましてや牛から原料は取って無く牛の爪とは無関係だし、も〜ビックリした。

まだまだ革砥に付いての興味深い記事が有り、「 革砥とズックの手入方法 」 の中に、革砥の油抜き方法 なる記事が有り今後実証実験しながら感想を述べていこうと思うが、この記事を読んで暫くの間、あまりの衝撃で何時もの研ぎが出来無くなる程だった、この記事は私の中で剃刀研ぎのバイブルとなるだろう。

革砥の手入れ ② [革砥]

岩崎航介著作「刃物の見方」でも後回しにされた“革砥”だが、実際のトコロ文献も見つけられず難儀していたが、最近参考になる意見を頂いたので早速試してみた。

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革砥を使っていくと表面も汚れ傷み均一では無くなるので、クリーンナップを兼ねたチューンナップを革砥に施すらしい。

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まず、#2000番革砥に、耐水ペーパーの粒度 #800・#1200・#2000 と3種類用意し革砥表面、写真右半分研ぎペーパータオルで磨いて感触を比べてみた。

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コードバンに馬油やオイルなどを付け磨くとコードバン表面特有のツヤは消えてツヤ消しとなるが(コードバンには牛革などに通常ある銀面と呼ばれる表皮が無い)各々の耐水ペーパーで研ぎ、ペーパータオルで磨きをかけたら綺麗なツヤが出た。何十年も経ったカッピカピの古い革砥にはしっかりした潤いお手入れが耐久性を上げるタメにも必要だと思う。
その革砥のラッピングに自信が持てなかったワケだ。というより、革砥自体が怪しいと思っていたからだが。

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( 磨き前 )

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( 磨き後 )

以前おこなった革砥の手入れでは“馬油”を表裏タップリ塗ってしなやかに表面を整え高温アイロンで体重をかけフラット化を試みた、まずまずの仕上がりで期待が持てたが結果がイマイチ判りやすく出ないので革砥の扱いはイメージが湧かないまま使用していたのだ。

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一皮むく感じとなるが、マズは手触りが違う、感覚的にハッキリ判る! 参考意見通り耐水ペーパーの#2000番で革砥を磨き仕上げた方が表面がシックリ落ち着き繊細な刃が付く感じだ。

ハッキリ言って“革砥を使うと切れ味が落ちる” と言うのが私の見解だ。砥石に当てるのもそうだが切れ味は確かに落ちる。
砥石に当てなくてはならない程刃先がおかしくはなってないのに、砥石に剃刀を当ててシャカシャカしてる気分を味わいたいばっかりにワザワザキレッ切れの剃刀を研いで切れなくしている。
「刃物の見方」の中にも達人理容師が剃刀を一度砥石で研ぎ上げれば後は革砥のみで何百人もの、イヤそれ以上の髭を剃ったと出ている。私は一年で髭剃りは250回程度だし、それも5本もの剃刀を所持しているので、何れも直ちに剃れ無くなどならないし、使い方、使用量がプロとはまるで違うのだ。
つまり実用的に考えれば、砥石にヘタしたら年に一回も当てなくてもキレッ切れの剃刀の刃のままで維持するコトは不可能では無い。しかし、髭剃りはプロセスを含め全てが趣味なので、分かっていても研ぎたくなるんだな〜。

今は、天然砥石と目白名倉で仕上げ、革砥#30000番でラッピング、研磨フイルム#15000番を使って研ぎ、最近登場した毛羽立てデニム砥にて磨き上げて、腕の皮砥でラッピングからの最終チェック、おかげでキレッ切れの刃が付いてるのが判る。(後は西洋剃刀の鋼材と刃の形で耐久性、剃り味が変わるのだが)

手もとにある西洋剃刀5本を、きちんと砥石で研ぎ上げれば、マズ一年は革砥だけで過ごせるワケだ。
となると、なおさら革砥での仕上げ方、扱い方をマスターしなくてはね。


革砥に付いている布砥 [革砥]

革砥に付いているズックの布砥は何のタメにあるのか、当然革砥とセットなので剃刀用だとは思うが、その粗い布砥では剃刀の繊細な刃は付くはずも無い、きっとナルホド的有効な使い方が有るのだろうと思うが。

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考えるに、切れ味の落ちた剃刀を最初にズックの布砥にてタッチアップして、刃を付け直し最終的に革砥で磨き上げ仕上げる。という手順なのかな?
もしくは、青棒を塗り込んでコテコテにしたズックの布砥で最終仕上げを行うのかな?

どちらにしても布砥は革砥よりも遥かに弾力が有りソフトなので僅かでもチカラを入れてラッピングすると刃先は丸まり切れない剃れない剃刀となるはずだ。

使い方としては、表裏として使うのか? カレンダーのようにめくって使うのかな?使い易さで言うならばひっくり返す表裏として使う方が都合が良さそうに思うが。

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2本ある革砥に付いている布砥の厚さ硬さしなやかさが全く違う、まして編み方パターンがぜんぜん違うし編む密度が違うのだが、その理由は有るのだろう、また、革砥の値段の違いがあるので、価値の高い革砥に付いている布砥の方が普通に考えれば良いモノなんだろうね。

布砥は両面で違うパターンとして、片面青棒塗りたくって、もう片方はオリジナルのままで2度おいしい感じでもイイね。


革砥とセットの布砥は、“ はてな? ” 状態で1度も使わずブラ下がっている。




革砥と皮砥 [革砥]

何度か髭を剃ると天然砥石と目白名倉で剃刀研ぎ直しをするが、それは革砥で付けた小刃を削り取り切刃のみにリセットするタメだ。( 切れない剃れないワケでは無く、趣味として剃刀を研いでみたいのだ )

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手持ちの革砥は#2000番と#30000番の2本のみだが、#2000番でのラッピングでは粗目の小刃が付き、#30000番だと細か目の小刃が付く。何方も5往復してマイクロルーペでチェックするが小刃の状態を見て後何往復するかを決めている。お気に入りは#30000番、見た目での大差は無いが極小の世界を覗くとシャレにならない大差が付いている。

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研磨粒度0.3ミクロンの研磨フィルムで切刃を鏡面状に磨くと同時に小刃幅をゆくゆく10ミクロン辺りになる様に調整する。

1本の髪の毛先側をつまみ毛根側から剃刀で指先から出た毛の5cm辺りをスパッとカットして見る、何時もの切れ味チェックだ。
左手で毛先をつまみ、その左上腕の腕毛の無いトコロの人間の皮膚、上腕の皮の “ 皮砥 ” で剃刀をゆっくり数回ラッピングすると恐ろしい程の切れ味となる。
切れ味チェックしつつ “ 皮砥 ” に当てるので、確実に切れ度が上がるのが分かるし、切れる切れない刃先の位置も分かる。

YouTubeにて理容のプロが革砥を使ってのラッピングや、手の平でカミソリのラッピング動画が見られるが、テンポ良く ものスゴいラッピングスピードだ。
素人が行うには、革砥を痛めたり 手だと大怪我しそうだ、ましてやあの様な手荒に見えるラッピングでは繊細な刃が均一に付くとは思えない。
動画用にプロテクはスゴイだろ的に張り切ってるんだったらパフォーマンスとしては分かるが、通常作業動作なら髭を剃られるお客が可哀想だね。

布、デニム、和紙、牛、豚、鹿革、ヌバック、あらゆる研げそうな最終磨き砥を使い試してみたがピンとこない、最終仕上げには感覚的にモノ足りないのだ。

人間皮砥の良いトコロは、上腕の皮膚の弾力と剃刀を皮膚に当ててる力加減を肌で直接感じられる。モノを使った最終仕上げとは絶妙なバランス感覚の点で大きく異なるのだ。

最先端に極小の小刃を付けて研ぎ上げるには、皮砥の繊細な最終調整に今の所代わるモノが無い。


革砥の手入れ [革砥]

以前手持ちの西洋剃刀5本を研ぎ上げ、刃先と切り刃幅の各々計測写真を撮ってみた所、革砥を当てた時に出来たであろう刃先とシノギの乱れたキズが気になっていた。革砥に当てて作る刃先の糸刃 (小刃) が全て均一になって無いのだ。当て方もあるだろうが、元々の革砥表面が均一では無いのでは?と推測した。

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馬革には馬油でしょ、と前回と同じく北海道物産展で手に入れたラベンダーアロマオイル配合の馬油を表裏タップリ揉み込み塗った。( 後、金具も全て外した)


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しばらくすると革が馬油を全て吸収してしっとりと良いしなり感が出る。



今回は表面の均一化と余分な湿りを取るために、最高温度MAX(麻クラス)にしたご家庭用アイロンに全体重を気合いと共に乗せ、思いっきり表と裏をプレスしてみた。(スチーム無し)
( 我が家の女子達が怪訝な顔で見ている、“ 壊したら即新品を購入 ” 顔に書いてある。後で知ったが27年間も我が家に奉仕しているアイロンらしい )


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#2000番 Before → After

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#30000番 Before → After

共にしなやかながら表面のキメは整い硬質に、見た目と撫でた感触では、とても良い感じに仕上がった。

香り良い革砥で仕上た剃刀の剃り味が楽しみだ。


革砥 #30000 [革砥]

革砥#30000を手に入れた、以前何も判らず革砥#2000を手に入れて使っていたが、後で知ったが番手の大きい物は値段も高く、たぶん革砥にあてた剃刀の仕上りに違いが有るのでは無いのかヤキモキしていた。前に手に入れた革砥と同じマークを見つけた。
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手に入れたのは革砥#30000番! まず革が硬い厚い、剃刀を当てる面がカチカチだ。古いがほぼ新品のコードバンは乾燥しきっていてしなるコトも出来無い、馬革なので馬油を揉み込んでみたらいい感じでしなやかさが出た。
数字的にザックリ10倍以上の違いが出るはずか?ワクワクしてテストに入った。
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まず#2.000番から往復10回! 以前行った通りに小刃が付いた、毛先をつまんだ髪の毛もスパスパ切れる、今まで通り全く問題無し! 
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次にもう一度名倉で小刃を研ぎ取って無くして、#30.000番の革砥をあてる、往復10回! 当然小刃が付いた。革砥の番手を10倍以上上げたが小刃が鏡面化する訳ではない、よーく見ると小刃に付く研ぎ痕が細かいかな程度だ。切れ味テストではつまんだ毛もスパスパよ〜く切れる、#2000番より切れるか?となると、気持ち的に切れるんじゃ無いのかな、となる。
考えてみるとマイクロメートルの世界ではこの差は大きいのでは。
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髭のキューティクルは10マイクロメートルあたりだから、それに食い込むにはそれ以上の鋭さが必要な訳で、同じ太さだと銅線に匹敵する髭は刃先が薄くなれば髭に負けて剃刀の刃先を曲げたり欠けたりしてしまう、だからしっかりとした鋼が必要となる。
剃刀を薄くし鏡面化したキレキレの刃で大量の髭に当ててみて刃先が負けてしまうのであれば、小刃を付けて髭に負けない厚みとキレを作り、それでいて薄くするには鋼そのものの質が重要になると思う、調べると玉鋼という日本刀を世に知らしめた鋼を日本の剃刀にも使ってたようだが、私が所持する1000 H.DIAMOND 林市太郎氏の西洋剃刀には EXTRA STEEL と刻印がある、研ぎやすく刃先も強い良い鋼なんだろう。

革砥 #2000 [革砥]

剃刀砥ぎのイメージに欠かせない革砥を手に入れた。
仕事で行った大阪で空き時間に道具屋筋へ、包丁など刃物を扱っている”一文字厨器”にていつかは使うであろう天然砥石の大突や正本山を見ていたら、なんと奥の壁に革砥がぶら下がっているのが見えた、話を聞くと海外産の牛革との事だ、馬革ではないのか?よく見ると革砥にはCORDOVANと型押しされている!今ここで買うのは見合せ調べて出直す事にした。

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検索してみると日本でも革砥を制作している工房が一軒あるみたいだが ”浅草にあるカノヤマ コードバン Kanayama Cordovan Strop Co" 、新品が欲しいが大阪道道具屋筋で見た革砥(#2500番)の3分の1のプライスで新古の奇麗な物を手に入れた。もちろんリアルコードバン、馬革で#2000番の物。番手の違いが何なのかは分からないし、くっついてる布ベルトみたいな布砥というのかな?その使い方も?、知らないが革砥と布ベルトの2本で一組になってるみたいだ、YouTube先生に使い方尋ねてみるかな。

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