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鉄隕石 [剃刀 雑感]

東京農業大学の資料館を覗いた時に、ダマスカス鋼を使い作刀したような刀の写真が出ていた。

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榎本武揚(日本の武士、幕臣で有りながら明治新政府の大臣を歴任した)が依頼し鉄隕石(隕鉄)を使って作刀した写真資料だった。

調べると、日本では、鉄隕石(隕鉄)を星鉄、隕星、天降鉄(あめふりてつ)などと言い、ソレを使って作刀したモノを、流星刀、隕星剣、星鉄刀、(アニメだが斬鉄剣)と呼ぶ。

日本では明治時代に作刀されたものが有名で、(鉄隕石を使用して製作された刀剣は各国にも見られる) 榎本武揚は刀工の岡吉国宗に 流星刀 の製作を依頼する。鉄隕石からは4キログラムほどの鉄が欠き取られて使用された。当初、隕鉄を使用して日本刀を製作することが初めてであった国宗は、普通の鉄と比べ、やわらかすぎる隕鉄の加工に苦労したとされ、鉄60パーセントに鋼40パーセントの分量で混合し、鍛えあげることに成功した。こうして隕鉄を使用して鍛えられた流星刀が大小4振り製作した。
(2振りは当時の皇太子のちの大正天皇に献上された)

使用された鉄隕石は、1890年(明治23年)、富山県上市川上流において、発見された「白萩隕鉄1号」隕鉄22.7キログラムだ。
地質調査所の分析で、白萩隕鉄1号の成分は、
鉄      89.5%
ニッケル    9.3%
コバルト  0.8%
炭素  0.2%

作刀するにあたり、例えるなら水と油を混ぜて氷を作るようなもだったらしい。
玉鋼と隕鉄を刃金に用いる場合の配合比は、7対3の割合がもっとも良い結果となることも分かったらしい。

隕鉄使用で作刀した刀匠
1898年 岡吉国宗
1992年 藤安将平
1994年 法華三郎

日本では他に鉄隕石を使用した両刃の剣である、隕星剣(過去に四日市市立博物館に展示)も製作されている。天体写真家の大野裕明が刀匠 藤安将平に依頼して1992年に作刀した1振りで、使用隕鉄は海外モノ、作刀の動機は、榎本武揚が製作させた流星刀に影響されてのコトみたいだ。

いまでも刀工に依頼して流星刀が製作されるが、国内モノではなく、海外モノ隕鉄が使用されることが多い。また、隕鉄を使用した日本刀は独特の輝きを有しているみたいだ。

1836年にナミビアで発見されたギボン隕石で1994年に刀匠法華三郎が鍛えた純粋隕鉄刀も同様で、流星刀に起因があるが、隕鉄の表面は柔らかくて簡単に切断ディスクが入ったが、途中から硬くなって切断ディスクの方が変形した。銑鉄でもないのに銑鉄のような火花が飛ぶし、どう考えても不思議な鉄だと言及したようだ。

調べていくと地球上の鋼を鍛えるのとは異なるゆえ刀匠が加工に苦心しているのが分かる。

宇宙から星となって地球に到達し、その星を使って刃物を作る。その名も 「 流星刀 」 とは夢があるではないか、是非とも隕鉄で剃刀を作ってくれないだろうか、私だったら必ず夢を手に入れる。


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コメント 2

かずかずけん

  凄い材質ですね  大宇宙に夢は広がります!!
適合砥石を捜すのは難しそうですが面白そうですね
by かずかずけん (2015-06-13 07:41) 

Yan-tan

鉄隕石で造った剃刀で髭を剃る、世界でもそんな人はいないのでは。
世界で唯一の剃刀と聞いただけで、ワクワクしますね、手に入れば毎朝が楽しくなりそうです。
by Yan-tan (2015-06-20 19:19) 

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