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ヘンケルス #14 [西洋剃刀]

ソーリンゲン、ヘンケルス、ドイツ統一前の西ドイツ製おりたたみ剃刀 #14 番( 70g )を手に入れた。

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東西ドイツ統一が1989年だからそれより古く今より50年前の商標が柄にある、当然統一前の西ドイツ製となるワケだが、それも #14 番となるとヘンケルスの中で1番の大刃となる。
番号違いで #17 番も大きく重いがヘンケルスでは #14 番が折りたたみ式剃刀では世界最大だ。( NOSヘンケルス#14 75g ) 因みにスペイン製剃刀フィラモニカも #14 番が1番大きく重い 70g 前後辺りだ。

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大刃の良さは使って見ると分かるが、①に研ぎやすい、②に扱いやすい、③にどんな髭もズズズズ剃っていけるパワーが有る、④に刃幅があり峰の厚さはどれも大差が無いので、となると刃先の角度は刃幅があれば当然薄くなるので鋭くなる。
などなど全てが申し分無い理想的な西洋剃刀に思われる。

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細かい刃でチマチマ剃るのも嫌いでは無いが、大刃のおおらかな剃り味も捨て難い。是非手に入れた暁には、コノ大らかさを満喫して頂きたい。

早速、数時間かけて磨きと手入れ、 研ぎとラッピング にてピカピカキレッキレの刃先にし髭剃りに望んだワケだが、どんなにキレれる剃刀も扱い剃るテクニックが無いと宝の持ち腐れとなるね。

ヘンケルス #14 は優等生で下手や素人に寛容だ。道具が良いととても上手くなった気がするね、世界的にこのブランドのラインナップが売れた理由が分かる。

私の考えだが、“ 弘法筆を選ばず ” は、無いね。上手くなれば良い道具が分かるし選ぶはずだから。
筆墨で紙を相手では無く剃刀は生きた人間の皮膚を相手だから、ましてやソノ相手には感情と口が付いてるからね。

重く大きい剃刀はそれだけで魅力的だし、期待が持てる。
しばらく、このナタのような剃刀、初ヘンケルスの#14 を堪能するコトにしよう。


R.SAITO SK式.2 [西洋剃刀]

以前から気になっていた斎藤隆一氏考案のSKシリーズの内のSK式.2を手に入れた。

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何と言ってもこの湾曲した円線刃で剃ってみたい好奇心と、やはりこの世界で類を見ない独特な雰囲気のデザインに心が動かされない人はいないだろう。

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手に取って見るとイメージが膨らみ過ぎてたせいか、大きく重いナタに近い剃刀のハズが、 実際に見た目よりは軽く47gしか無い。( 我が家の女子達が、“ 肉切る包丁に似てるね〜 ” っと言っていた、確かに!)
SK式.2でもこんなに湾曲しているのだから、コレより湾曲の強いSK式.1はもっと魅力的なのかもね。

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YouTubeにて理容師がストレートブレードの8の字研ぎやアールブレード第3アールと第1アールの円線刃を、平らな砥石での研ぎと研磨剤使用の平らなシルクラップでのV字研ぎをアップされてる。細く説明されていて肘を上手く使ったクイックなV字研ぎだ、仕上がりは光を当てて確認とのコト、立ち方や左手の手の置き場所等なかなかコツを掴む迄が難しく見えた。(2012/4にアップされている動画で視聴回数が現在100未満だが貴重 )
平らな砥石では難しくもなろうが、手に入れているカマボコ型砥石なら研げなくも無い様に思えた。

動画の中でストレートレーザーでのV字研ぎは刃先が砥石に当たっている時間が多くなるので気を付けないと先細りの片減りした剃刀になると説明していた。
V字研ぎはやったコトは無いが頭では分かっていただけで、動画を見るのは初めてだ。ナルホドこの研ぎ方では、注意しないと先細りした剃刀刃になりそうだった。



斎藤隆一氏 経歴
皇室の御髪奉導役(おぐしほうどうやく)を承っておられた。
1950年 理容技学の研究と向上を求め、理容指導者育成を目的として、「斎藤会」という名称で設立した。現 中央理美容専門学校 の創設者で理容の父と呼ばれる。(校舎入り口には斎藤氏の銅像が有る )。 1961年 会の名称を改めて全国各地に本部を設置し、現在では「日本理容技学建設会」略して「日技会」となる。

斎藤隆一氏考案の西洋剃刀 
R.SAITOブランドで湾曲の強さ違いのSK式.1.2.3 と有りSK式 .1が湾曲が強い。手に入れた円線刃西洋剃刀にはSK式.2と刻印は片面のみだが、調べるとSKの前にマークやロゴが有ったり反対面にはR.SAIOの刻印が有るものや、指掛けにSK式と小さく刻印の有るモノもある。柄にもマークが象嵌して有ったりと、刻印タイプは幾つか有るみたいだ。

重歳や病気などで頬や顎のこけた顔を剃るのに考案されたみたいだが、細面でも無く極めて一般的な私でも使ってみたい西洋剃刀だ。
円線刃ではKIKUBOSHIブランドにもR.SAITOの刻印が見れるが、それ以外にもアールブレードだけでは無く、R.SAITOのストレートブレードの西洋剃刀も有る。

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手に入れた状態では全く剃れず切れずで、しばらく研いでは見たものの全く切れ無い。

はて?丁寧さが足りないのかもう少し頑張ってみるか。


684 RED POINT [西洋剃刀]

先月、やまと古民具骨董市にて一目で気に入り西洋剃刀8番目に手に入れた初海外物のSOLINGEN製 684 RED POINT RAZOR だ。

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RED POINT はネット上にて30丁程アップされてる全てのRAZORが海外のサイトでの確認で、日本のサイトにRED POINT のRAZOR自体アップされていた形跡が今のトコロ無い。

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917REDPOINTが柄の色違いも有るが大半で、他に918REDPOINT、HOFFRITZ、UTICA KNIFE&RAZOR CO、WR.CASE&SONS.BRADFORD 、Kinfolks、などの刻印がもう片面に有る。

手に入れた 684 RED POINT のRAZORは海外サイトで1丁見付けたが、メーカー自体が80年前には消滅しているみたいなので、手に入れたほぼ新品箱付きとナルト大変貴重なRAZORとなるね。

RAZOR自体に品が有りコンパクトでブレードはCarbon(炭素鋼) Wショルダーで、薄く造られたコンケーブが美しく、形は柔らかなラウンドtypeだ。
綺麗に真鍮で象嵌された商標に丸く赤いペイントされているハンドルはCelluloid と海外のサイトでコメントが有るが時代的にもその様だと思う。

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手に入れたRAZORのブランド RED POINT は MADE IN GERMANY だが、MADE IN USA の REAL RED POINT というソックリ商標のRAZORが存在する。

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RED POINT は、SolingenのアントンWINGENジュニア によってユーティカナイフ&レイザー社の商標だった。

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REAL RED POINTは、1924-1935に、ニューヨークの209ジョンストリートにてユーティカナイフ&レイザー社の商標だった。
製造工場はPlattsburgでニューヨークに有り、パルカトラリー社が行ってきたみたいだ。峰を上から見て取っ手左にRAZOR名の REAL RED POINT が刻印されており、右側には「ジャガーサプライ株式会社スプリングフィールドイリノイ州。MIG」と入っているものも有る。

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( 商標の上に REAL の象嵌文字が、私が “ ホンモノ ” って意味か? )


Solingen製もUSA製何方もユーティカナイフ&レイザー社の RED POINT 商標を使っており、コレは商標は何方が先かでもめてる 本家と元祖 みたいなコトですかね。

152 BULLDOG [西洋剃刀]

やまと古民具骨董市にて手に入れた7本目の西洋剃刀は “ 152 BULLDOG ” だ。

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砥石や革砥での研ぎ練習用の西洋剃刀がとても必要でずっと探していて、なかなかコレってモノがなく難儀していた。

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練習用として探していた西洋剃刀が、刃は新品に近い程よく、スウェーデン鋼で、よくあるホローグラインド逆蛤がベストだ。
そして、大切なのは長く使えて基本とも成れるべき練習用なので愛着のあるブランドネームも必要だ。

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西洋剃刀の刻印によくあるSILVER STEELだが銀鋼と直和訳しかなく鋼は何だかよく分からないが当然ケミカルな炭素鋼だろう。WAPPANTED とは 「保証する」 とあるが、何を?ハテ〜ナ?


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BULLDOGの刻印は谷藤福太郎氏のブランドとフォント違いでSolingen製のブランドに見られる。谷藤の刻印が有る西洋剃刀FAVORITの取っ手のもう片面には全く同じで SILVER STEEL WAPPANTED の刻印が見られる。谷藤製西洋剃刀のブランドネームは多いがコレも関係が有るのかな?
FULLY WAPPANTED とは 「 完全に保証する 」だ。裏表でココまで保証されると もう何だか分からないが安心?になるね。

BULLDOG ” は以前我が家で飼っていた30kgにもなった犬種で、常に手に取るにはピッタリのネームだ、見つけた時は小躍りしてコレしかないと思った。

チェックすると、刃線中央辺りに裏表に錆がかたまって有る、後は汚れだが気になるほどでは無い。
黒のエボナイトの柄には深くカタカナで文字が刻んで有り、気分的に乗らないのでいつかは消したいトコロだ。

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マズは、刃線中央の錆だが、“ 3Mスポンジ研磨材 超極細目 #1200〜1500 ” と“ ピカール ” 金属磨き、研磨台座として紙ヤスリ用のゴム台座と5cm位のゴムチューブ。

3Mスポンジ研磨材をハサミでカットしゴムチューブに巻くとホローグラインドの反りにゴムチューブの丸みとスポンジ研磨材がピターっと合いドライでゴシゴシするとスグに錆はほぼキレイに取れ他の鋼材部分のツヤもそれ程損なわない、コレはオススメの優れモノだ。( ドライとウエットで粒度が変わる )
ピカールは剃刀の硬い鋼材を磨くには時間が掛かりあまり役に立たない。

やっと気に入った練習用西洋剃刀を手に入れた、コレからいろんな砥石で研いで基本の剃刀となれるかだが、楽しみだ。


玉鋼 ㊂ 岩崎 [西洋剃刀]

片刃の日本剃刀は気にはなっていたが意識して見ていはなかった。


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ましてや、玉鋼岩崎重義氏製作の片刃日本剃刀に柄を付けた西洋剃刀仕様と言う珍しいのが手に入ったモノだから急遽ネットでガッツリ調べてみた。

現在ネット上に写真で上がっている岩崎製の日本剃刀のみ、玉鋼、炭素鋼、スウェーデン鋼、計100丁程チェックしてみた。 ( 剃刀の数え方だが 一丁、二丁で良いのかな?)


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玉鋼製は、「玉鋼 岩崎」「玉鋼 ㊂ 岩崎」「玉鋼 ㊂ 重義」と3種類の刻印が有る。また、炭素鋼、スウェーデン鋼製には「炭素鋼 岩崎」「登録 ㊂ 岩崎」「 ㊂ 岩崎」の3種類が有り、大まかに計6種類の刻印が見受けられる。

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「玉鋼 ㊂ 岩崎」は刻印の文字違いで4種類確認でき、年代により刻印が違うと見た。見れば古い順の見当がある程度つくが定かではない、今回手に入れた剃刀の刻印「玉鋼 ㊂ 岩崎」は中でも新しい部類に入るようだ。

玉鋼岩崎のスペシャルな片刃西洋剃刀も16丁がチェック出来た。中には「玉鋼 岩崎」刻印の日本剃刀を後で西洋剃刀に仕立てたで有ろうブレードと柄の接点のピンの辺りにアラビア数字が刻印されたのが有る。
玉鋼製片刃西洋剃刀は、元々の玉鋼岩崎日本剃刀に折りたたみの柄を付けたモノだから後加工の指掛けがヤタラ細い。(「玉鋼 岩崎」のみの刻印は全て旧字体である )
他に、玉鋼の定番刻印と“ 別打 ”の刻印がさらに入ったり、オーダー品なのか名前の入ったモノも見受けられた。

玉鋼製岩崎の初期の日本剃刀にはアラビア数字が軟鉄の柄の中程に刻印されており、確認出来る数字は年代順に200番台から1100番台で有り、その中の初期の旧字体「玉鋼 岩崎」刻印は200番台から800番台で確認出来る。1100番台の刻印は其れよりも新しく現字体「玉鋼 ㊂ 岩崎」だ。
現在の岩崎製玉鋼日本剃刀は随分前からシリアル番号無しの 「玉鋼 ㊂ 岩崎」なので世の中に何丁出回ってるのかは定かでは無い。

因みに玉鋼製岩崎の両刃西洋剃刀には全てにシリアル番号が有り、漢数字の四◯◯番台から一八◯◯番台の刻印が確認されている。(ごく少量海外向け?英語表記の玉鋼西洋剃刀が有る)
( 髭剃りの友Blogー西洋剃刀ー ㊂ 岩崎 3Mトキワ 2015.2更新 参考 )


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岩崎製日本剃刀をチョット調べただけでも新旧かなりの数が流通販売している。(三条製作所は現在も稼働している)
剃刀に刻印されている数字だが、例えば漢数字が“ 五六七、八 ” と有れば、多分10丁分ぐらいの量の玉鋼に通算567番目の塊として打ちのばし、その鍛えた玉鋼の板から8丁目に出来上がった剃刀というコトらしい(567回叩いたワケでは無い)。西洋剃刀、日本剃刀共にシリアル番号が1000番を有に超しているワケだから数字的に10000丁以上の玉鋼製剃刀を三条製作所では製造販売したコトになるね。

現在は岩崎製の西洋剃刀は全く製造されておらず、シリアル番号無しの日本剃刀のみの製造だ。過去の炭素鋼、スウェーデン鋼全ての岩崎西洋剃刀、日本剃刀はシリアル番号が無いタメ判らないが製造量は玉鋼より多いと思われる 。

現在シリアル番号が確認出来る岩崎製の玉鋼西洋剃刀は59丁と玉鋼日本剃刀は9丁で、合わせて68丁だ。今後調べればまだまだ出て来るとは思うが、やはり玉鋼製の岩崎剃刀は貴重だ。

日本剃刀 [西洋剃刀]

以前より試してみたかった日本剃刀をとうとう手に入れた。


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日本剃刀と言えば “ へんこつ、つらゆき 、ニューずぼら、イヤデモ切レル ” など興味をそそるネーミングやタイトルが多い。


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また、鋼を軟鉄に着鋼した日本刀にも通じるモノを感じる、片刃では有るが鋼と軟鉄の刃面を砥石で研いだ時の霞のかかり具合など今後楽しめる要素は西洋剃刀と比べても遥かに多いと思う。

ただ、日本剃刀のデザインが余り好きではない。ゴム製の青い柄もピンとこないし、柄が付いてないと頭デッカチでバランスが悪いしね。

折りたたみ西洋剃刀には、日本剃刀には無いジャックナイフの様なワイルドな匂いがするから好きなのだ。
シェービングカップにブラシ、ソープやオイル、アフターバームとローション、シェービンググッズのどれを取っても西洋剃刀とマッチするからね。


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持ち運びしやすいように折りたためる、一見すると西洋剃刀の様な片刃の日本剃刀が有るのは知っていたが、今回手に入れた折りたたみ剃刀はまさしくソレで 、ソレも三条製作所の鍛冶職人 岩崎重義氏製作の 玉鋼を着鋼し鍛え上げたスペシャルな日本剃刀だ。

( 髭剃りの友Blogー西洋剃刀ー岩崎3Mトキワ、2015.2更新済、参考 )


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手入れが良かったのかセーム革で拭いただけで輝きを放った。表のスキが微妙では有るが年数が経っている割には刃も痩せてはおらず程度は超良好だ。

この珍しいハイブリッドの日本剃刀で楽しめると思うとワクワクして眺めているだけで酒が進む〜



㊂ 岩崎3Mトキワ [西洋剃刀]

西洋剃刀入手5本目は新潟県三条市にある三条製作所、岩崎重義制作トキワ仕上げだ。


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軽く錆びてはいたが#1200、#2000とスポンジ研磨材超極細目(#1200~#1500)ピカールにてなんとか使用できるトコロ迄こぎ着けた。刃先刃線にサビのスポットが思ったより少なかったので助かった。


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三条製作所の出発点は西洋剃刀の製造から始まり、現在は岩崎航介氏の2人いた弟子の一人水落良市氏が日本剃刀のみ作っている(岩崎重義氏は制作を休止してるみたいだ)。だから玉鋼や炭素鋼で制作した西洋剃刀は全て貴重なモノとなった。


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岩崎氏が西洋剃刀を作りだした頃は、仕上げが出来なかったみたいで、谷藤福太郎、上條幸夫、トキワ(理容卸の仕上師)に仕上げを頼んでいたみたいだ。
日本刀に造詣の深い岩崎航介氏は、西洋剃刀制作において日本刀と同じく鍛冶師と仕上師を分けて考えていたのかもしれないね。

三条製作所製の炭素鋼(スウェーデン鋼)西洋剃刀は 「 ㊂ 岩崎 」と峰を上から見て右取っ手に横書きに刻印されてる。

岩崎の西洋剃刀に T と一文字取手にアルファベット刻印されてるのは、仕上げた谷藤福太郎氏の頭文字だ、他に H や M や V などがある。

上條幸夫氏が仕上げた岩崎の炭素鋼西洋剃刀の指掛けには、KAMIJOのローマ字刻印が入る。
三条製作所製の玉鋼西洋剃刀にも、峰を上から見て左取っ手に、岩崎上條の名字が連名刻印された貴重な剃刀も有る。

トキワの刻印はいろいろなタイプが有るみたいで、手に入れた3Mトキワの他に、トキワや6Mトキワ、7Mトキワ、9Mトキワ、9Hトキワ、トキワマスター等が見受けられる。 

刻印違いでは、全て英語とローマ字表記のモノや 30、33、38、50、60、70、80、90 等の二桁アラビア数字が確認でき、それと共に炭素鋼と刻印されたモノも有る。他にレデイ、片面刻印無し、等がある。



(三条製作所の玉鋼製西洋剃刀は峰を上から見て取っ手左面に ㊂ 岩崎 と縦書きに刻印されてる。もう片方の右面取っ手には、縦書きで 漢数字 とその下に玉鋼と漢字で刻印され、四00番台から一八00番台迄で54本の現存を確認する事が出来る。

三条製作所の玉鋼製西洋剃刀にはアラビア数字で刻印された片刃西洋剃刀も有る。
刃は日本剃刀の片刃仕様、刃と柄が折りたたみ式で日本剃刀と西洋剃刀のミックスだ。200〜400番台で確認できる。取っ手では無く刃面裏に縦書きで玉鋼 岩崎と刻印して有る 。

他に英語とローマ字で全てが刻印された 海外向け?の IWASAKI MADE IN JAPAN TAMA-HAGANE STEEL と刻印された玉鋼製西洋剃刀も有る。)   2015.6更新



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コンケーブのアールは絶妙で峰も厚みが有る。剃刀自体がやや重いのか手にしっとりとなじむ感じがする。
柄は基本的に白と黒らしい、西洋剃刀の箱は3種類有ったみたいだ。3M、6M、7M、9M、9H、G、H、M、Vなどの刻印の意味等判らない事が多いが、三条製作所も理容卸のトキワも現在有るみたいだし尋ねてみたいモノだ。

CAPE NT–77 [西洋剃刀]

2本も手に入れカナリ満足、買う気もなくプラプラしていたらコレを偶然にも見つけた。アノ日の3本目はナント有名な限定品だった、手に入れない理由は無いでしょ!

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調べれば後から後から情報が出て来るので時間と手間が掛ったが、素晴しい製作者の西洋剃刀であることが分り、巡り巡って私の手元に来たコトが不思議な縁であると感じた。


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谷藤 福太郎 明治27年 (1894年) 4月1日生 ー 平成2年 (1990) 享年95歳
昭和61年 (1986) に墨田区無形文化財技術認定保持者に登録

日本で初めて西洋剃刀を製作した草分けが谷藤福太郎で、林 市太郎と並んで西洋剃刀製作ではとても有名な方だ。谷藤氏は墨田区で(林氏は荒川区)工房を構えてた。大正天皇も谷藤製造の剃刀で髭を剃っていたそうだ。西洋剃刀の製造を廃業した後、主な機材を三条製作所の岩崎氏に譲渡したみたいだ。


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“ 77 CAPE–KENNEDY RAZOR ” は 昭和46年 (1971) 谷藤福太郎が喜寿(77歳)の記念にNICHIRI(日理)から発売した喜寿記念限定品だ。
初回出荷の柄は “ CapeKennedy77 ” がゴールド文字の象嵌で、その後の出荷分の象嵌文字はシルバーに変更されているみたいだ。
ナルホド!改めて手に入れた剃刀の柄の文字色を見るとゴールドに見る、が、、コレは初回出荷分!かと思ったがキレイに磨いたらピカピカのシルバー色だった。

柄の図柄と“ 77 CAPE–KENNEDY RAZOR ”の意味は何だか分かり辛いが、発射台を離れたアポロロケットが今マサに爆炎を上げて宇宙へと飛び立とうとしている図柄だ。調べると “ 1963年から1973年にかけて、ケープ・カナベラルはケープ・ケネディ (Cape Kennedy) と呼ばれていた。1963年ケープ・カナベラルに位置するNASAの施設を「ケネディ宇宙センター」に改称し、さらに砂洲の名称そのものも「ケープ・ケネディ」と改めた。” とある、年代的にもピッタリだね。

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谷藤の主な西洋剃刀は、TANIFUJIは元より他に CAPE、SPALDING、MaxFli、FAVORIT、Wogen、BA'BA、HOLCO、AIRI、KONIG、TF.HAIROP、Rikishia、RITUKY RAZOR、CLUB RAZOR、TENSTER、HELMAN、KINTAKA、BULLDOG、トキワ、宇賀、総房、岩崎( T の刻印) など、かなりの数のブランドに谷藤名や谷藤マル福の刻印が確認される。他に鍛治岩崎重義、仕上谷藤福太郎銘と銘の有る象牙柄の桐箱入り記念モデルが有るみたいだ。 (2015.2更新)


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全体にやや錆びてはいたがコンケーブも良い感じで刃の研ぎ減りも少ない、3Mスポンジ研磨材 超極細目(#1200〜#1500) で錆落としをしたら綺麗になったが、刃面に刻印されてる “ 77 CAPE–KENNEDY RAZOR ” の RAZOR部分の青い塗料も残念ながら錆と共に剥がれ落ちた。汚れや錆を落としていて分かったが “ 77 ”の 文字のみ赤い塗料だ。赤と青の文字と白い柄、アメリカの国旗の色だね。刃の材質はスウェーデン・ハイ・クローム鋼で、柄はエボナイト製だ。


調べていくと、手元には無いが喜寿記念限定品オリジナル剃刀の箱は赤紙箱でNT-77と書かれてるが、その後は樹脂のケースに変更されていて、この樹脂ケースは他の剃刀にも併用されているみたいだ。
また、初回出荷分の剃刀6本入れる箱には「谷藤福太郎翁謹製」と「喜寿記念限定品 CapeKennedy TN-77」と両サイドに貼って有るが、 2回目以降の出荷分の6本入りの箱は「CAPE 日理株式会社」に変更されてる。  

とても良いモノを手に入れた、製作者やドノ剃刀にもドラマが有る、謎も多いもっと良く知りたいものだ。

800 DAISHI [西洋剃刀]

骨董市で手に入れた2本目は、柄が半透明のアメ色べっ甲系で目を引いた。刃は多少使い込まれていて痩せてはいるがまだ使えそうだ、汚れで曇っていたが軽く磨くとサビは少なく見えた。試したり確かめたりするための一本を手に入れれば問題無かったのだが、取っ手の文字が気になり駄目元で手に入れるコトにした。

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買うつもりの300 SANKANを握りしめて、残りの気になった剃刀をどれどれとルーペで覗くと、 800 DAISHI YASUKI STEEL MADE OF IRON SAND と汚れていたが読めた。
( 写真全て、洗剤で洗い研磨剤で磨いた後 )


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もう片方は、YASUKI FACTORY TAMAHAGNE と読めた。むむ??何度か両面読み直したが日本製だし、砂鉄から造った安来鋼って 玉鋼 ってコト?かな?


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店に射し込む陽に当てると綺麗にアメ色に透けて輝く柄に象嵌されてる 斜め四角にタツノオトシゴ とDAISHI の文字、かなりイカして見えた。


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1000 H.DIAMONDに比べコンケーブがなだらかに付いたやや厚めの刃で、峰角が研ぎ減ってるためか刃付け幅も広い。何だか鈍い色をしていて趣が有る。切れ味と剃り味が楽しみだ。

指かけにも何か刻印があり、持ち帰り石鹸と歯ブラシで洗ってようやく、“ 梅次 ”と読めた。
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調べると “ 梅次 ” の他に “ 赤須 ” “ 紅葉 ” “ 桜木 ” “ 高橋 ” “ 六次郎 ” などが指かけに刻印されている。“ 桜木 ” の刻印は “ 名工 ブランドの剃刀にも見受けられた.。
印の意味は不明だが製作職人の刻印だとすると一本づつに責任を持っていたコトになるね。

DAISHI を 漢字にする “ 大師 ” の文字で同ブランドの西洋剃刀が検索すると出てくる。多いのが 大師、ブランドの “ 宝剣 66 ” “ 宝剣 350 ” など 大師の他に “ 若葉 ” “ 大洋70 ” “ M-66 ” と言うのも有る。それらの取っ手には 日立ヤスキ鋼 とか、YSS ( Yasugi Specialty Steel )、 H.Y.S 、( HITACHI YASUKI STEEL )、日立焼鈍鋼、YASUKI FACTORY などの文字が見て取れる。

斜め四角に竜の落とし子とDAISHIの文字のトレードマークも、net上で柳沢直矢監修の剃刀の柄に斜め四角に竜の落とし子 の同じマークを見つけた。(DAISHIの文字は無いが)関係はあるのだろうか?

TAMAHAGANE YASUKI STEEL (玉鋼)とは島根県安来市の日立金属冶金研究古来の正統的和鋼として、同地方で取れる砂鉄を原料に奥出雲町にて年に数回古来のたたら吹き製法にて造られる和鉄のコトだ。近代製鉄150年というからそれ以前は日本製は全て和鉄だって事になる、玉鋼と言うのも通称で和鉄を明治になって大砲の砲弾(玉)に使ったから呼び名がついた。現在玉鋼の在庫はダブついてるみたいだから積極的に製造はしないみたいだね。

玉鋼の種類は大きく分けて1級A、1級B、2級A、2級B、銑鉄、卸鉄の6種類に分けられているが、一番良い部位は日本刀の原料として全国の刀匠に配布されている。
是非知りたい疑問だが、剃刀にはどの辺りの玉鋼を使ってるんだろうね、部位によっては雲泥の差だろうから。

手に入れたDAISHI剃刀の全くの同型や,同型の番号や柄の色違い、刻印は同じで刃が日本剃刀型の西洋剃刀もアップされてた。同型でも見比べると四角い象嵌マークのバリがやや違ってたり、刻印の押しの深さや位置が違ったりと一本一本が手作りであるコトがうかがわれる。

ルーペで5度見して もしやと思ったが、net上にアップしてる同型の西洋剃刀を玉鋼製と言うことで紹介されている、駄目元で手に入れたが 吉 と出てホント良かった。

日本刀と同じ玉鋼製の西洋剃刀が巡りめぐって私の手元にやって来た、ワクワクしないはずが無いのだ。

(2015/7/8 追加 更新 DAISHI(800)はYASUKI STEEL製 つまり正真正銘ヤスキ鋼製で間違い無い、然し乍ら TAMAHAGANE と刻印が有るが 玉鋼 製では無いみたいだ。)


300 SANKAN [西洋剃刀]

今回の骨董市にて、まっ先に目に付き、2本目として手に入れるには理想の西洋剃刀を見つけた。
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一目で気に入った、Lone Wolf の文字と満月に岩場に立ち吠えるオオカミのモチーフが白い柄のエボナイトに象嵌して有る様に見える。一匹狼と言う意味では私と全く違うキャラではあるが、男として憧れる響きだね。
(前回行った骨董市でエボナイトとベークライトの違いを実際のモノで詳しい店主に教わった、古い西洋剃刀の柄はセルロイド製かエボナイト製らしい)


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刃の部分を開いて見ると 取っ手に 300 SANKAN BEST STEEL の刻印、、3度読み直した。3つの王冠が輪になったマークの刻印が目に入った。あぁ!Three Crown と 言う所を 三冠 にしたんだなぁ、こう言う所が西洋剃刀とは言え日本なんだね、ますます気に入った所だ。


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FOR BARBER'S USE. FIRST QUALITY. 床屋が使うモノ、品質第一 ってトコか、“ 良いモノだからプロの使用にも応えられますよ ” とも取れるね。


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刃の形状はスクエアのペタ刃、他所様のblogなどでペタ刃の存在は知っていたがホンモノを目にするのは初めてで一目見てトキメイた。コレで髭を剃るのかと考えるだけでワクワクするね。
ルーペを持参していたので詳しく刃の状態をチェックしたが汚れて曇ってはいたが全く問題無く、持ち帰りマイクロファイバークロスとピカールで磨けばピッカピカのツッヤツヤ!納得した西洋剃刀を自分の足でようやく見つけた、長い付き合いになりそうだ。

SANKAN をググると同名型違いの西洋剃刀が1つ出て来た。ナカナカ希少なモノみたいだ、詳しく出処を知りたいが全く分らなかった。幾つもあったであろう剃刀製作所の記録も知りたいものだ。

西洋剃刀キーホルダー [西洋剃刀]

先日行った骨董市で入手した西洋剃刀型キーホルダーをチェックしてみた。
錆びたキーホルダーチェーンは外し本体をピカールで磨き上げたら汚れていただけで意外とダメージは無くピッカピカになった。


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ハンドルには Sterling の刻印が有り Silver925 製だ、キレイで緻密なエングルーブが施されていた。


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ステンレスで有ろうブレードも問題無く、形式的にスクエア、シングルショルダーのペタ刃だ。研げばそれなりに刃が付きそうだ。 (研がないけど)
取っ手にTOKYOの刻印が有り、日本の銀細工職人が作ったものなんだな、丁寧な仕事ぶり流石です。


西洋剃刀 本レザーを探しに行って 1/4程の精巧なミニチュアを手に入れた、次は本モノを!

1000 H.DIAMOND [西洋剃刀]

初めて手に入れた愛用の西洋剃刀 出処が気になっていた 1000 H.DIAMOND について調べてみた、なんと日本の優れた工房で作られた物だった。
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製作者は西洋剃刀製作で有名な 林 市太郎 氏 (H はハヤシのH) 以前は荒川区に工房があったみたいで、全盛当時は多くの職人さんをかかえて全国の理容問屋に数多くの剃刀を卸していたらしいから今もかなり多くの剃刀が現存しているようだ。
私の持つ 1000 H.DIAMOND の他に番号違いや柄の素材や色ガラ違い、HAYASHI TOKYOの刻印のある物、刃に“H DIAMOND’S”の刻印があったり“S”だけ無かったり、柄の商標デザイン違いなど大小刻印違いが多数あるみたいだ、細かく違える意味が何かあるのだろう。TOWAブランドにもH DIAMONDの刻印があったりと分かりづらい、格上にBLACK DIAMOND やMercury , DIAMOND など別ラインがあるみたいだ。
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私の剃刀は ダイヤモンド・ハヤシ のブランドで、綺麗なセルロイドの柄に商標が金工象眼されてる。ダイヤモンドの中に漢字で林 の商標はお気に入りだが、マーク化された林という字がSolingen ZWILLINGの双子のマークに似てると思うのは私だけだろうか?てっきり海外物だと思ってた。
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剃刀の峰(しのぎ)から刃先にかけてのえぐれたアール部分をコーンケーブと言い、左右にえぐれてアールが付けてあり刃先は薄く両刃となってる。刃の側面を触ると分かるのだが微妙に2段にアールが付けてある、写真で分かるだろうか?。職人技の絶妙なコンケーブだ。それが付いているおかげで、髭剃り時の肌への当たりがたわんで柔らかく感じるそうだ。まだ私にはその感覚が分からないが、先人達の知恵に違いない。髭を剃るとチリチリと良い音がする、そこがお気に入りだ。

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今はメーカーや林氏を検索してもなかなかかからず、品番だろうか?1000の意味や、ハヤシブランドの剃刀ラインナップなど、また現在ブランドはどうなったのかは全く分からず知りたいところだ。
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